2019 Fiscal Year Research-status Report
Third Force in a History of Modern Japanese Art
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19KK0001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十殿 利治 筑波大学, 芸術系(特命教授), 特命教授 (60177300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 惠里子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20292493)
林 みちこ 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40805181)
水野 裕史 筑波大学, 芸術系, 助教 (50617024)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 日本近代美術史 / 日英美術交流 / ジャポニスム / ロンドン留学 / 日英博覧会 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際共同研究のために不可欠の研究者交流を海外共同研究者であるセインズベリー日本藝術研究所渡辺俊夫教授と研究代表者、研究分担者全員により令和元年12月に実施することで、研究計画、研究方法等について具体的な議論を進めることができた。これに基づいて、研究分担者山口惠里子と同林みちこが渡英して、各自の調査を実施するとともに、現地でさらに研究活動の方向性について渡辺教授と意見交換を実施することになった。 研究代表者五十殿利治は久米民十郎について関係資料調査を進める一方で、代表作である永青文庫蔵《支那の踊り》が修復され、令和2年2月の同館早春展で十年ぶりに再公開されるに際して同館より機関誌に寄稿を求められ、研究成果の一部を発表した。山口は令和元年12月末よりイギリスに調査研究のため出張し、ヴィクトリア&アルバート博物館や大英博物館所蔵の作品調査、またナショナル・ポートレイト・ギャラリーの主任学芸員アリソン・スミス氏、イギリス19世紀美術・文学の専門家アラステア・グリーヴ氏、ロジャー・シンプソン氏、バリー・ブレン氏と研究交流を行った。また、林も同時期にイギリスに出張を行った。内容は、ワールドミュージアム(リヴァプール)展覧会Drawing on Nature:Taki Katei’s Japan作品調査、監修者ロジーナ・バックランド氏と面談し、またコルチェスターで石橋和訓作品調査・撮影、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館ナショナルアートライブラリーにおいて資料調査・撮影を行った。また研究分担者水野裕史は金工作品を国内外の博覧会に精力的に出品した鈴木長吉(1848-1919)について調査を行った。また、海外で紹介された日本の古美術作品について、イギリス王室所有(ロイヤル・コレクション・トラスト保管)の明治10年代から20年代の仏像古写真を入手し、調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時点においては、海外研究協力者を交えた協議を実施し、協議内容に即した海外調査も可能となり、研究推進のための知見を深め所期の成果を得ることになった。しかし、その後、年度末にかけて、新型コロナウィルス蔓延によって、国内の調査研究にも支障が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナウィルス対策のため、日本と英国双方において安全の宣言がない限り、国外の出張予定を中止し、研究計画を大幅に変更する。国外出張予定であった五十殿利治(研究代表者)・水野裕史(研究分担者)・柳原一徳(研究協力者)の出張は中止し、当該費用は次年度に繰り越す。2020年度の研究は昨年度収集した資料の整理、あるいは文献調査に切り替える。地域の事情を勘案しつつ、国内出張もこれに準じる。 その上で、五十殿は久米民十郎の学習院を中心とする人脈を中心にして欧米滞在時における交流(たとえば1922年9月ロンドンにおける徳川家正との交流)について実証的な調査を進める。山口は漆原木虫の木版画とイギリスの木版画リバイバルとの関連を調査研究する。林は洋画家石橋和訓の政財界人脈についてオンラインで検索可能なアーカイヴにアクセスし調査を進める。水野は海外で紹介された日本の古美術作品の再評価および古美術収集家のネットワークについて調査研究を行う。研究協力者の柳原は国内外の石橋作品の総目録化を準備する。 共同研究の受け入れ先のイースト・アングリア大学セインズベリー日本藝術センター(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures; SISJAC)とは、基本的にはオンライン会議を予定する。当センターの海外共同研究者の渡辺俊夫氏、サイモン・ケナー氏とはこの会議を通して、研究交流を実施することにする。研究論文等を送付し、研究の進捗状況や情報について連絡を取り合うなど、2022年度に開催予定の国際シンポジウムに向けての準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウィルスが日英両国において蔓延し、研究資料等の収集を行うために必須の情報を国内外で収集することに、大きな支障が生じた。今年度についても引き続き、情報を集め、慎重に必要な資料の収集に努める。
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