2021 Fiscal Year Research-status Report
Third Force in a History of Modern Japanese Art
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19KK0001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十殿 利治 筑波大学, 芸術系(特命教授), 特命教授 (60177300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 惠里子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20292493)
林 みちこ 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40805181)
水野 裕史 筑波大学, 芸術系, 助教 (50617024)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 日本近代美術史 / 日英美術交流 / ジャポニスム / ロンドン留学 / 日英博覧会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の一環として、リモートによる公開の研究集会を二度実施して、研究成果の一部を公開した。第一は11月6日の明治美術学会と共催で、研究代表者五十殿利治が本研究の趣旨を説明した上で、研究に関わる主題について、研究グループから海外共同研究者であるセインズベリー日本藝術研究所の渡辺俊夫教授ならびに研究分担者林みちこが研究発表を行った。第二は、独自に企画し「久米民十郎とグローバル・モダニズム」と題した研究集会であり、五十殿が基調報告を、岐阜県立博物館南本有紀が関連発表を行った後、神奈川県立近代美術館長水沢勉とともに鼎談「今、久米民十郎を考える―グローバル・モダニズム、世界大戦、霊術」を行った。 研究分担者山口惠里子は19世紀末-20世紀初頭にイギリスで活躍した漆原木虫と木版画のリバイバルとの関係について調査を行った。また研究協力者山口有梨沙が和服の受容に関する研究発表を、渡辺教授のチェアするアメリカ・アジア学会セッションで行った。研究分担者林みちこは『日英新誌』の調査と分析をすすめ、石橋和訓周辺の在英邦人のネットワークを解明した。成果は学会口頭発表、一般講演により公表した。研究協力者として石橋の画業について共同研究している島根県立美術館専門学芸員柳原一徳の石橋和訓《岡倉由三郎像》(島根県立美術館へ寄贈)の分析が進展し、論文発表がなされた。また研究分担者水野裕史は、19世紀のイギリスにおける日本の花鳥画の受容について調査をおこなった。成果は英語論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍によって国内での調査も順調ではなく、また英国における感染状況も深刻であり、海外出張などに支障があったが、一方で、リモート会議等による研究交流の環境がかなり整い、研究交流の方法にも習熟することで、リモートによる公開研究会を二度開催するなど、進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度であり、これまでの研究の総括を目指す研究集会を実施するとともに、研究報告集を出版する。ただし、現時点においても、日英ともコロナ禍の全面的な終息が見通せず、また準備にも時間を要するので、セインズベリー日本藝術研究所との連絡を密にし、同研究所の渡辺俊夫教授とともに、研究代表者、研究分担者、連携研究者らが参加する公開のリモート会議によるものとして計画を進める。 五十殿は久米民十郎の英国における交流圏の研究について、来年度に展覧会を予定する神奈川県立近代美術館の学芸員西澤晴美を研究協力者として共同して進める。山口は漆原木虫と英国の木版画への影響を検討するとともに、英国における和服の受容をテーマとして英国で研究発表を予定する研究協力者の山口有梨沙(聖徳大学専任講師)と共同して、サードフォースの問題を検証する。林は在英画家と政財界人のネットワークに関する調査を継続し、とくに石橋和訓在英時の支援者レナード・ヒルに関する論文をまとめる。また石橋研究の研究協力者柳原一徳は英国における実地調査を行う。水野は古美術を中心とした日英の文物交流について、追跡調査を行う。とくに宮内庁書陵部および国立公文書館に所蔵される史料を翻刻し追究する。研究員江口みなみは漆画という特異なジャンルで英国で活躍した佐藤武造とその支援者について研究を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウィルスの蔓延により、日英両国において、研究調査の活動が著しく制限を受けた結果、研究交流による情報、あるいは資料の収集に支障があり、次年度使用額が生じた。今年度は最終年度であるが、状況を勘案しながら、情報と資料の収集に努める。
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Research Products
(10 results)