2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on "Disagreement" in logic
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19KK0006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡田 光弘 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30224025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 賢吾 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (00224072)
五十嵐 涼介 首都大学東京, 人文科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (40853205)
細川 雄一郎 >, 人文科学研究科, 客員研究員 (60853190)
伊藤 遼 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(CPD) (70853422)
峯島 宏次 お茶の水女子大学, 文理融合 AI・データサイエンスセンター, 特任准教授 (80725739)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 論理的不一致 / 不一致の哲学 / 論理の哲学 / 数学の哲学 / 論証 / 証明 / 論理的意味論 / 相互理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究5年度計画の第1ステップとして、論理的「不一致」の代表的で伝統的な論争を整理する作業を開始した。古典論理と直観主義論理論争、シンタクスーセマンティクス論争、古典数学と構成数学の論争、幾何学・図形証明の論争などの論理の哲学と数学の哲学の伝統的論争は、見方を変えると論理文法の「不一致」についての論争と読み直すことができる。日本側代表及び日本側全員とフランス側パリ第1大学哲学科・IHPST代表との間で、これを検討した。ウィトゲンシュタインの規則論の変遷、ラッセルの判断概念変遷、ゲティア反例の多領域様相論理などの分析を通じて、論理的論争の不一致を検討した。 岡田・伊藤および協力者高橋・秋吉が2月にフランス側パリ第1大学哲学科・IHPSTを訪問し、本国際共同研究の開始のためのワークショップを開催した。特に、協力者高橋は、本日仏プロジェクトの準備期間中に、JSPS海外特別研究員としてこのプロジェクトの相手側パリ大学IHPSTに派遣され、フランス側チームに長期滞在する形で日本側との共同研究に積極的に協力している。2020年2月のパリ大学における共同研究立ち上げワークショップは、Mathematical and logical understanding and formalization Workshop in honor of Pr. Mitsuhiro Okadaと題され、特に日本側共同研究代表者の岡田のこれまでの仕事を振り返る作業もここで行われた。それらの議論の成果も今後の日仏共同研究に活かしていく。 代表者岡田がカナダUQAM・CIRST所長)Mathieu Marionと本プロジェクトのための共同研究を開始し、成果を出版した。フランス側共同研究者Joinetが2019年11月に来日し、本共同研究の調整を行った。また、岡田が2020年2月にJoinetを訪問し、共同研究の打ち合わせをさらに進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題研究代表者と分担者、及び協力者2人がフランス側共同研究者全員と2月に打ち合わせを行い、共同研究の具体遂行プランを協議した。モントリオール側共同研究グループ代表と本研究プロジェクトの最初の国際共同研究成果を出版した。本グループが中心となり、フランス主要連携拠点パリ大学IHPSTで本研究課題を中心とする日仏ワークショップを開催した。日本側代表者岡田と副代表者岡本がオーガナイザーとなり、フランス側共同研究グループのJoinet教授(リヨン第3大学及びパリENS)らとともに、日本科学哲学会大会シンポジウムを開催し、本研究課題に関する討論を行った。その討論の成果は次年度の学会誌特集テーマとして取り上げられることとなった。本国際共同研究プロジェクトを通じて、国際共著論文を出版できたこと、などは予想を超える成果だったと考える。 直観主義論争、判断概念論争、ゲティア反例の論争などを中心に、論理的論争の分析を通じて、論理的不一致の第1ステップの研究をスムーズに開始できた。ウィトゲンシュタイン的視点を本課題研究の手法に取り入れるという研究計画についても成果出版やリヨン大学日仏協力セミナーなどを含めて、充分な進展が見られた。これらのことから、明らかに予想を超える研究の進展があったと言える。 また、CNRS-President Antoine Petit博士訪問団、フランス連携先パリ第1大学IHPST研究所Pierre Wagner所長、フランス連携先リヨン大学国際協力部局責任者らとも、この日仏共同研究のスタートに当たって、日仏研究連携の枠組みについて有益な情報交換ができ、次年度からのさらなる共同研究発展に向けて準備ができた。 この国際共同研究加速(B)制度の初年度は10月開始であり、初年度研究活動期間は6か月間と短かったが、それにも関わらず、研究計画のあらゆる面で充実した活動ができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトの最終到達目標について、日仏共同研究グループ間および日加共同研究グループ間で確定していく。 本研究プロジェクトの第1ステップである、伝統的論理論争における論理的不一致の分析をさらに進める。さらに、これらを通じて、論証の不一致の研究のステップに向けた研究の準備を行う。 短期滞在交流とともに、長期滞在交流にも重点を置く。現在、JSPS派遣制度を利用して日本側チームからフランス側チームに一人長期派遣しているが、第2年度はさらにもう一人長期派遣を予定している。パリ第1大学IHPSTに滞在するこれらの長期派遣若手研究者たちが、フランス側チームメンバーと本共同研究課題で共同研究するとともに、日常的にその研究状況を日本側研究チームと共有する。フランス側チームの主要研究者たちが来日し、日本で本共同研究のワークショップを開催する。また、日本チームも渡仏してフランスでもワークショップを行う。カナダ・モントリオールグループを日本グループが訪問し、Wittgenstein的観点による「論理的不一致」の検討を進める。中間成果の国際学会での発表や学術雑誌での発表を進めていく。
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Causes of Carryover |
2019年度末の2月後半から3月にかけて予定していた国際共同研究用旅費や会議費を次年度以降に用いることとなった。特に、2月後半以降のフランス側の感染症の拡がりにより相互に行き来することが不可能となり、一部の交流費用を次年度以降に回した。北米カナダへの旅費を次年度以降に利用することとした。
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Research Products
(13 results)