2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on "Disagreement" in logic
Project/Area Number |
19KK0006
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡田 光弘 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (30224025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 賢吾 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00224072)
五十嵐 涼介 東京都立大学, 人文科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (40853205)
細川 雄一郎 群馬県立女子大学, 文学部, 講師 (60853190)
伊藤 遼 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(CPD) (70853422)
峯島 宏次 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (80725739)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
Keywords | 論理の哲学 / 数学の哲学 / 論理学 / 不一致の哲学 / 否定 |
Outline of Annual Research Achievements |
論理的「不一致」の基盤研究として、矛盾・否定及びそれらと関係の深い条件法、デフォルト推論、TM-意味論等の含意の諸相を哲学史と現代論理の観点から検討した。現代論理学史・現代哲学史を論理的「不一致」の観点から見直す作業を進めた。岡田はWittgensteinの矛盾論や証明論の立場を岡田-Marionが考察した。カントの無限判断(述語否定)に関するものである。伊藤は、初期ラッセルの周辺を見直した。五十嵐は、カント図式論とロッツェの『論理学』の連続性を検討する中で、コプラを否定する通常の否定(否定判断)とは異なり、述語を否定するようなカントの無限判断の形式を定式化した。峯島は認知科学的手法で、否定の図的表現の基礎論について検討した。岡田は図的情報提示と意思決定の一致・不一致という点を含めて、他属性情報提示論理デザインの基礎研究を進めた。細川と岡田は反事実条件文の意味論から派生する不一致についての論理的準備研究を行った。例えば、岡田は常識知と例外、及び例外の中での常識と例外の例外、という日常言語及びデフォルト推論に現れる不一致の構造を可能世界意味論により分析した。岡田は、不一致のケーススタディとしてのゼノンパラドクスに対する線形論理的分析を再考した。岡田は、整合性証明およびプログラム停止性証明に関わる順序構造の一般化についての準備研究を進めた。また、Truth maker semanticsにおける不整合性の取り扱いの線形論理的検討に入った。 本プロジェクトのフランス側パリ第1大学連携チームと共催して、論理的「不一致」についての国際集会をUNESCO世界論理デー(World Logic Day)の正規登録行事として2021年1月14日に開催した。フランス側連携チームとともに、学術的議論を深めただけでなく、今後の共同研究分担や成果公表研究会企画、成果公表用出版計画などを立案した。多属性
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カントから19世紀ロッシェにかけての論理哲学、初期ラッセルの前後の英国・大陸の論理哲学の影響関係、Wittgenstein周辺などにおける論争や、否定・矛盾概念の諸相、D.ルイスの反事実的条件文の可能世界意味論を拡張した、常識知と例外の推論のために意味論、Truthmaker意味論などを材料にして、多層的に整合性と非整合の意味論分析も進んだ。写真画像などの図的データの否定的情報の認知や、他属性選択肢の図的提示方式の違いによる意思決定の一致に関するデータ解析など、認知科学的・心理学的手法も用いた否定・不一致の基礎研究にも着手できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続し、さらに発展させていく。論理哲学史的観点と現代論理的手法とをさらに組み合わせることに努める。またこれまでえられた現代論理的主研究をさらに発展させ、矛盾概念や否定概念の諸相を浮かび上がらせることを通じて、論理的「不一致」の根底の論理構造を多相的に捉えていく。また、認知科学的・心理学的観点によるこれまでの成果をさらに発展させ、不一致による拒否や否定的判断についての実践面の特徴を考察する。 本研究終盤については、具体的不一致分析に対して、我々の論理的成果がどのように応用できるかについても検討する。「不一致の哲学」のなかでわれわれの「論理的不一致」研究がどのように位置づけられるかについても明らかにすることを目指す。
|
Causes of Carryover |
パンデミック(新型コロナウイルス感染)のために連携共同研究グループの国(フランス、カナダ)への渡航、およびそこからの入国が制限された。このため予定されていた会議や研究打ち合わせの一部を次年度に延期し、遠隔会議方式で進められる部分のみを今年度進めた。このことにより次年度使用額が生じた。予定していた旅費及び海外連携先との共同研究に関わる費用に使用する予定である。
|