2023 Fiscal Year Research-status Report
Ecological history of the appearance of earthenware in Eurasia
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19KK0017
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 謙一 中央大学, 文学部, 教授 (80303296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國木田 大 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (00549561)
遠部 慎 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (50450151)
下釜 和也 千葉工業大学, 地球学研究センター, 研究員 (70580116)
西本 志保子 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (70982651)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 縄紋文化 / 東アジア先史文化 / 炭素14年代測定 / 安定同位体比 / 土器の出現 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーラシア各地の旧石器時代の終わり・土器の始まりから土器の普及まで約10,000年間を対象とし、土器型式による相対年代と多様な測定法によってきた自然科学的年代を整理し、不足部分を新たに測定して、実年代の枠組みを完成させるために、朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部、中近東など、これまでの年代測定結果を分担者で手分けして集積して時期区分を相互に比較できるよう対比年代を検討した。 対比するべき日本国内の試料については、九州の南部、特に九州南西部徳之島の旧石器から縄紋粗金年代測定に成功したほか、四国上黒岩第2岩陰、瀬戸内海岡山県小林河原イS系の旧石器時代炭化物、東海地方の静岡県大鹿窪遺跡の草創期、関東地方の早期、南東北地方早期、青森県の草創期・早期、北海道の草創期・早期の年代測定を進めている。 その上で、土器の出現と広がりが、特定地域から始まる伝播によるものか多元発生かを検討したが、最も古い中国南部の測定値が孤立しているのが現状である。一方で、もう一つの最古の土器の出現地と考えられてきたアムール川流域の土器群が、15000BPを下り13500BPまでの年代範囲で変えるべきとの結果も認められてきており、やや新しい出現地と捉えられるようになった。東アジアにおける土器出現地の検討は進みつつある。 今後とも、年代値の集積を進めて実年代でのユーラシア先史文化の枠組みを完成させ、環境変動と文化史的変化と検討していく。同時に、炭素14年代・酸素同位体と樹木年輪・貝輪(貝殻成長線分析)年代など年代測定法の多様な方法論の相互検証と補完を重ね、新たな年代決定の方法を構築することも目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリス・ケンブリッジ大およびセインズベリー研究所との共同研究は、webも含めて研究打ち合わせを重ねるとともに、相互の交流も進めている。2023年度は中央大での成果検討会行った。また、韓国へは数度の渡航を重ね、年代測定用試料の採取と測定も進めている。 一方で、中国本土へは渡航の制限があり、研究が停滞している。同様に、中近東、ロシアへは国際情勢の悪化から渡航や海外研究者の来日は難しいため、国内の試料の捜索や既存のデータの収集と整理、対比される国内の年代値の測定を進めている。 以上より、研究自体は着実に進めているが、目的の一つであった国外各位の試料を直接採取することに関しては、一部の地域で全く行えていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行くことができない、またはきわめて困難な中国・ロシア・中近東の関連資料を含めて、それらと相互対比・関連しえる日本列島・韓半島の資料など、順次国内外各地の資料を採取し、AMS測定と土器付着物はIRMS測定を行い、データを蓄積する。また、対比されるべき日本国内も、南西諸島、北海道が不足である。測定例のある本州・四国・九州も、すべての地域・時期のデータが網羅されているわけではない。そもそも測定例・測定可能試料が検出されていない時期・地域も残るが、各地の研究機関に呼びかけ、測定可能な資料・試料を集めたい。 2024年度は成果報告会を中央大学でハイブリッドで開催するが、夏に他の研究基金の研究成果とも関連させた形での中間報告検討会、冬に本科研の成果報告会を開催するとともに、webで配信し広く世界に発信する。結果については、測定データをweb上で公開するようにしたい。
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Causes of Carryover |
測定を見込んでいた試料について、韓国への渡航が遅れ、当該年度に採取できなかった。その後採取はしたため、次年度の早期には予定の測定数について測定可能である。
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Research Products
(14 results)