2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on motivation for migration accelerated by climate change
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19KK0025
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 大輔 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (30784889)
石渡 幹夫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 客員教授 (30831664)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 気候変動 / 海面上昇 / 小島嶼国 / 移民 / マーシャル諸島共和国 / パンデミック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、海面上昇によって近い将来、生活に著しい支障をきたし国外への移転を余儀なくされることが予見されるマーシャル諸島の住民がどのような動機で移転を決断するかを明らかにすることである。しかし、マーシャル諸島共和国はパンデミック対策として、厳格な隔離政策を実施しているため、現地調査を行うことができなかった。このため、2021年に現地の企業に委託してマジュロの一般市民に対してアンケート調査を実施した。質問項目は32、サンプル数は308であった。 結果は現在解析中であるが、移住を決定する主要な因子として、居住地での社会的束縛の強さや、海外からの送金の有無があることが示唆された。多くの市民は英語に自信があり、自身が海外で職を得られるという自信があった。実際にはアメリカに移住した多数のマーシャル人が英語力や学歴の問題などにより失業状態にあり、そのような現状が国内に伝わっていないことが示唆された。また、市民が最も信頼する情報源はマスメディアであり、学歴が高くなるほど自国が水没する可能性を否定しなくなることがわかった。市民の多数が信仰する宗教は聖書を重んじるプロテスタントであるが、土地の水没を否定する聖書の教えと気候変動による水没の可能性の両方に同意するという矛盾した傾向があった。 さらに2021年度には、住民が移転を決定する重要な要因として、パンデミックを含めた。そして、国外の研究協力者とはオンラインで討議を行い、移転先における移民のパンデミックに対する脆弱性や、移民が受け入れ社会にどのように適応または同化するか、マスメディアがどのような役割を果たしているか、移民の世代間問題などについて分析し、Journal of Disaster Researchに特集号として、研究協力者が執筆した5編を含む合計9編の研究論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マーシャル諸島共和国がコロナ対策として国外からの入国を事実上禁止してしまったため、現地調査が一切行えなかった。入国規制は現在(2022年4月)も継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
マーシャル諸島共和国の入国規制は今後も継続すると考えられる。そのため、日本でアンケート調査の結果解析を中心に行うこととするが、ハワイにマーシャル人のコミュニティがあるので、その代表者と協議して、数名の移転民と会合を持つことで、研究の補足を行うこととしたい。また、中東からヨーロッパに移動した難民や庇護申請者の移転決断について研究を行っているオーストリアの研究者と情報を交換し、本研究の分析の参考をしたい。
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Causes of Carryover |
調査対象地であるマーシャル諸島共和国が新型コロナウイルス感染のために、極めて厳しい隔離政策を講じているために渡航できなかった。このため、国外に出たマーシャル人が多く居住する米国のハワイ州などで調査やワークショップなどを行うこととする。
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Research Products
(5 results)