2020 Fiscal Year Research-status Report
Comparative study between Japan and European countries on forest management entities altering owners
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19KK0027
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
久保山 裕史 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90353672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 詠子 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教 (10733561)
岡田 美香 一般財団法人林業経済研究所, 一般財団法人林業経済研究所, 研究員 (30790703)
岩永 青史 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (60726107)
佐藤 宣子 九州大学, 農学研究院, 教授 (80253516)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | 森林所有者 / 管理主体 / 日欧比較研究 / オーストリア / ノルウェー / ドイツ / 林業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年11月に国内調査を熊本県阿蘇市郡地域において実施し、林業経営や素材流通の概況把握やアンケート調査の依頼を行った。地域を管轄する阿蘇森林組合は、1市6町村の約6千人の組合員の所有林6.4万haから、直接雇用している作業班4班と外注先54社(70~80班)によって素材7.7万m3を生産し、共販所(原木市場)を通じて販売を行っていた。アンケート調査は、阿蘇森林組合の住所録からランダムに抽出を行い、12月に調査票を1,155件配布し、1月に335件回収した。宛先不明が8.6%存在し、これを除く回収率は33.6%であり、5ha未満の小規模層の回答率が高かった。詳細な分析はこれからであるが、所有者の森林は在住市町村内に8割あり、面積は概ね変化なしであったが、規模拡大した40件の主な動機は林業経営拡大であった。また、山林の主な管理者は「自分・家族」が8割を占め、主な相談相手の半分を森林組合が占めており、林業意欲は高く、森林組合も重要なステークホルダーであることが明らかとなった。他方、この地域では、所有者の森林管理のサポートを行うNPO法人が1.5万m3の素材生産を行うなど活発に活動していることから、その実態調査を行った。その結果、広域合併によって森林組合と所有者や林業事業体との間に距離が生じたのに対して、身近であることや若手移住者を新規林業事業体の担い手として育成し、林業労働力不足をカバーすることによって、NPO法人は第2の森林組合として機能していることが明らかとなった。海外調査については、英語およびドイツ語のアンケート調査票を完成させるとともに、現地のカウンターパートに連絡を取り、アンケート調査実施が可能性について引き続き検討を行い、可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究検討の不便については、リモート会議を開催することによって影響を最小限に抑えることができるようになったが、新型コロナによって海外調査が一切できないため、事前調査による概況把握や海外協力者を介した現地森林組合等への具体的な依頼ができず、研究の進捗に大幅な遅れが出ている。また、球磨川流域豪雨災害の影響で国内現地調査が遅れるなどの影響も出た。
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Strategy for Future Research Activity |
国内調査については、熊本調査の結果について分析を行うとともに、比較検討を行うべく岐阜県等においてアンケート調査を実施する予定である。海外調査については、今年度も実施できるか極めて不透明な状況にあることから、リモート会議等を通じて現地と調整することによって、今年度内に現地委託によってアンケート調査を先行実施することを検討する。いずれにしても、アンケート調査の分析には、現地調査による概況把握やフォローアップが必要であることや、取りまとめに時間がかかることから、事業期間の延長を申請する予定である。
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Causes of Carryover |
海外調査が、コロナ禍による渡航禁止のため実施できなかった。また、会議や学会がリモート開催となり、旅費の執行がわずかにとどまった。令和3年度は、現地委託による海外アンケート調査を実施するため、予算執行額は大きくなることが見込まれる。ただし、研究実施に不可欠となる海外調査が、今年度も実施できない可能性が高いため、事業期間の延長を申請する予定である。
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Research Products
(10 results)