2021 Fiscal Year Research-status Report
Public Inspection and Public Audit in the UK Audit Commission - Implication for Japanese Local Government Reform in the age of Financial Dificulties
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19KK0034
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
石原 俊彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (20223018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 直樹 福知山公立大学, 地域経営学部, 教授 (90792359)
酒井 大策 常葉大学, 経営学部, 准教授 (80783761)
関下 弘樹 福山大学, 経済学部, 准教授 (30824601)
大林 小織 大阪大学, グローバルイニシアティブ機構, 准教授 (50791266)
遠藤 尚秀 大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 教授 (40411805)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | Audit Commission / Value for Money / 包括的業績評価 CPA / 包括的エリア評価 CAA / New Public Management / New Public Governance / Public Inspection / 主要業績指標 KPI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2015年3月に英国保守党政権によって廃止された監査委員会(Audit Commission)の発足から廃止までの歴史的な経緯を探り、その分析から英国における公監査政策と公検査政策の詳細を把握し、そこから公監査や公検査が我が国の財政民主主義にどのような影響を及ぼし、または、及ぼすべきなのかを集約することを目的としている。 研究対象としては、監査委員会が公表した1000件を超える各種の報告書と、その詳細な分析に基づくヒアリングやインタビューを予定していた。しかしながら、COVID-19の影響で2020年3月の英国訪問調査を最後に、英国での現地調査はできない状況にある。 研究代表者はこうした状況に対応すべく、英国の公検査と公監査の研究者へのメールやZoomを介した照会を通じて、2015年の廃止までの監査委員会の活動の概要を詳細に分析した体系的な書物四冊の発見に成功し、2023年度以降の英国での翻訳的な現地調査の再開を前に、これら四冊の原著を日本語文献として翻訳出版できるように2022年度までの研究体制を再整備し推進している。 なお、研究代表者はすでに兵庫県西宮市代表監査委員に就任しており、本研究課題を実務的な視点からも分析可能な状況にある。また、研究分担者の井上も2021年度に京都府精華町代表監査委員に就任し、本研究代表者と同様の実務的な視点からの考察の展開が可能な状況にある。 本研究は一年間の研究期間の延長を予定しており、それを踏まえた残りの研究期間には、当初の研究目的であった「英国政府の公監査政策と公検査政策の成果と課題を踏まえたわが国自治体の財政民主主義への示唆」を、英国の文献資料と英国における現地調査の内容を踏まえて集約する計画にある。2021年度の研究活動においては、こうした研究の方向性の修正を、四冊の翻訳文献の詳細な分析を通じて実現することに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19 の影響で英国において当初予定していたヒアリング調査とインタビュー調査は、2020年3月を最後に実施できていない。この間研究方法の見直しを進め、英国における公検査の研究者に直接にメールやZoomによる照会を行い、2008年までの英国における公検査や業績監査の展開や経緯を説明した研究資料の発掘を行い、合計四冊の関連文献(著書)を発見することができた。2021年度までの二年半の研究期間においては、この四冊の書物を行間も含めて徹底的に分析するとともに、その学術的な意義を社会に貢献するために、翻訳出版が可能なレベルにまで精緻な訳出に取り組んだ。 この訳出では研究代表者と研究分担者だけではなく、研究代表者が研究指導する大学院博士課程後期課程生と大学院研究員も関与させ、多面的な学術的議論を展開しながら、訳文の正確性・簡潔性・明瞭性を高めることに傾注した。 四冊のうち下記の三冊については、出版社への提出原稿をほぼ完成した状況にあり、残る一冊についても2022年度中に訳出を完了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降では、研究期間の一年延長を予定しており、上記の四冊の翻訳で蓄積された研究成果をベースにして、英国政府の公監査政策と公検査政策の成果と課題を解明して、わが国自治体の財政民主主義への示唆を集約する予定である。 2022年度以降は、本研究の研究成果として以下の関連図書の翻訳書としての出版を実現するとともに、これら文献の行間も含めた渉猟を介して、2023年度以降実施予定の英国におけるヒアリング・インタビュー調査の焦点の絞り込みを実施する。 1) Davis, H., Downe, J., & Martin, S. (2001). External Inspection of local government. Driving improvement or drowning in detail, Joseph Rowntree Foundation, Davies, H., Downe, J. D., & Martin, S. J. (2004). The changing role of Audit Commission inspection of local government. Joseph Rowntree Foundation.の2冊は合体翻訳書として2022年度中に出版予定。 2) Davis, H., & Martin, S. (2008). Public services inspection in the UK (Vol. 50). Jessica Kingsley Publishers. 3) Murphy, P., Ferry, L., Glennon, R., & Greenhalgh, K. (2018). Public service accountability: Rekindling a debate. Springer.
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Causes of Carryover |
2020年度と2021年度に予定されていた英国における現地調査はCOVID-19の影響でまったく実施できなかった。この点を踏まえて、研究代表者は以下のような研究計画の見直しを予定している。 ①研究期間を一年延長して、二年間実施できなかった英国での現地調査を実施する。②約2年間英国での調査が実施不可能であった部分を補うために、2015年3月の英国監査委員会の廃止に至るまでの同委員会の活動を学術的に考察した四冊の文献(これらは、これまでの研究期間において、英国の研究者との学術交流を通じて発見された文献である)を詳細に分析し、同委員会から公表された諸報告書の内容を体系的に整理する。 次年度使用額として計上された予算は、いずれも上記のような理由(COVID-19に伴う研究計画の見直し)によるものであり、次年度使用額の多くは、①の海外出張旅費と、②の四冊の研究所の翻訳出版のために充当する費用として執行を予定しているものである。
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Research Products
(1 results)