2019 Fiscal Year Research-status Report
A Theoretical Study on Employment Policy for Persons with Disabilities in Sweden and Finland
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19KK0039
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福島 淑彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳丸 宜穂 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00387656)
柴山 由理子 東海大学, 文化社会学部, 講師 (40824868)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 障害者雇用 / スウェーデン、 / フィンランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、障害者の雇用促進のためにどのような政策が必要かつ有効であるのかを、スウェーデンとフィンランドの障害者雇用政策を検証・研究することによって明らかにすることである。スウェーデンとフィンランドにおいて障害者の社会参加が活発で、障害者の労働参加率と就業率が高いことは広く知られているが、なぜ障害者の労働参加率や就業率が高いのかについて国内外でこれまで厳密に研究されてこなかった。本研究はスウェーデン及びフィンランドで現地調査(インタビュー調査やアンケート調査)を行い、調査結果を量的及び質的の両面から分析することによって、どのようにしてスウェーデンとフィンランドで障害者の高い労働参加率と就業率が実現しているのかを検証するものである。
2019年度は、スウェーデン・フィンランドの両国の障害者の労働参加率、就業率、失業率、就業先の業種や職種、所得水準等について調査し、時系列、障害の程度別、男女別等でまとめ、両国の障害者労働市場の全体像がわかるような俯瞰図を作成することを第一の目標に研究を進めた。スウェーデンに関しては、文献調査である程度の俯瞰図を作成することができたが、フィンランドに関しては現時点で作成できていない。
2020年3月初旬にフィンランドを本研究参加の研究者すべてで訪問し、障害者雇用のステークホルダーである政府機関、独立行政法人、NPO団体などに対してインタビュー調査を行った。フィンランドにおける障害者雇用を促進させるための具体的な取り組みから多くの示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年3月初旬のフィンランド訪問前に政府機関、シンクタンク、NPO団体の文献や資料等をくまなくチェックしたが、フィンランドの障害者労働市場の全体像を把握できるようなデータを見つけることができなかった。フィンランド労働雇用省を訪問した際に、フィンランドの障害者労働市場の全体像を把握できるようなデータそのものを政府が集計していないことが判明した。つまり、当初計画していた実証分析を行うためのデータそのものが存在しないことがわかり、研究の方向性、アプローチ方法に関して修正を行う必要があることが判明したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は下記を行っていく。 (1)障害者雇用促進のためのプログラムの変遷と各プログラムの財政的規模(ウェイト)の推移、障害者雇用に関する法律の変遷、障害者雇用に関する法律制定の際の国会の議事録を検証することによって法律制定の意思決定のプロセスを明らかにする。 (2)スウェーデン統計局から障害者に関する個票データを取得し、障害者雇用政策の政策効果を検証するための実証分析を行う。障害者の労働参加率、就業率、賃金等などの被説明変数が、どのような要素(障害者雇用政策プログラム、障害の程度、学歴、住んでいる地域)によって影響を受けるのかをデータを用いて検証する。 (3)労働市場に参加している労働者と参加していない労働者の所得水準、生活の満足度に関するインタビュー調査やアンケート調査を行うことにより、障害者の労働市場への参加が障害者のWell-Beingを向上させているのか否かを検証する。 (4)障害者の社会参加を容易にするような法律、或いは障害者に対する差別禁止の法律のこれまでの変遷とそれぞれの障害者関係の法律制定の際の審議会や国会での議事録を検証することによって、障害者を労働市場や社会に取り込んでいこうとする社会的包摂(Social Inclusion)という考え方がスウェーデン社会とフィンランド社会でどのように深化していったかを検証する
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Causes of Carryover |
計画していたフィンランドでの調査期間が、フィンランドの訪問先のアポイントメントの関係で、当初計画よりも短期間であったため。
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