2019 Fiscal Year Research-status Report
Cost-effective measures for improvements in Health Management Information System (HMIS): Trans-disciplinary social experiments in Nepal
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19KK0044
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金子 慎治 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00346529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 高弘 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20547054)
佐藤 美穂 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 助教 (40607256)
小松 悟 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80553560)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | HMIS / 保康医療管理情報システム / 社会実験 / ネパール / 女性地域保健ボランティア / FCHV |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最貧国における医療保健・公衆衛生・環境政策の拠に基づく政策立案(EBPM: Evidence-Based Policy Making)に資するミクロデータ整備の改善方策を同定することを目的としている。具体的には、ネパール政府が全国の保健・医療施設から定期的にデータ収集を行うために導入した健康医療管理情報システム(HMIS: Health Management Information System)について、運用を担当する保健人口省・医療サービス局(DoHS: Department of Health Services)の研究者との共同研究・介入実験を通じて、保健・医療施設からの報告率及び報告データの質の改善、更には異なる省庁間での共有促進と政策分析の活用、の効率的達成方法を明らかにする。 2019年度には、4回の国内会議(対面及びオンライン)、1回の現地調査を行った。現地調査では、Province1のProvincial Ministry、Ilam郡保健局、また複数のヘルスポストやPrimary Health Clinicを訪問し、医療情報の報告実態の調査を行った。また現地の状況に詳しい専門家が複数所属しているB.P.コイララ健康科学研究所(BP Koirala Institute of Public Health)で聞き取り調査を実施した。現地調査の結果、地方分権化に伴い保健情報の伝達の流れが大きく変わってきたこと、とりわけ地方農村部でHMISを含む保健システム運用に従事する人材の育成が欠かせないこと、地域に根差した人材である女性地域保健ボランティア(FCHVs: Female Community Health Volunteers)への負荷が高まっていること、といったことが明らかになった。2019年に実施した現地調査や、関係するステークホルダーとの協議を通じて、2020年度以降に実施予定の介入実験の詳細設計やデータ収集の方策について共通理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は予定通り現地調査を実施して、社会実験の具体的な詳細計画を策定することができたため。また、当該国における協力機関、協力者を含め現地共同研究者チームを組織し、研究の役割分担について協議することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には当初計画に従い、報告改善に向けた介入実験の詳細設計を行うことを目指している。2021年度及び2022年度の期間中に確実にデータが取得できるよう、ステークホルダー(関連省庁・病院、ヘルスポスト担当者、FCHVs、現地研究機関、NGO)との協議を開催する。また、ネパール農村部の5歳未満児死亡や妊産婦死亡の状況、更に調査協力の得やすさ鑑み、現時点ではProvince1農村部を中心的な調査対象地域として想定している。具体的にはFCHVsに着目し、FCHVsが住民からより情報を収集しやすいよう体制改善を目指した介入実験デザインを検討しているが、検討中のデザインが現地の実情に合致しているのかどうか引き続き吟味を行う。更にFCHVsの活動が母子保健に対してどの程度貢献しているのか、効果を実証するための情報収集活動も想定し、具体的な調査計画を検討している。 但し、想定外の新型コロナウイルス感染症によって、本報告を作成時点において、ネパールへの渡航及び現地調査が難しい状況に至った。6年間で当初計画していた通りの研究計画が実施できるかどうかを含めて、共同研究者、現地ステークホルダーと綿密な議論を行うとともに、渡航が可能になったら迅速に調査ができるよう適宜準備を行う。
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Causes of Carryover |
研究メンバーのうち1名が現地調査の日程がつかず、次年度以降に繰り越すことにしたため、全体でその金額を調整して繰り越すことにした。
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