2019 Fiscal Year Research-status Report
Interdisciplinary studies for total landscape and ecological education biased on nature experience
Project/Area Number |
19KK0053
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊東 啓太郎 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10315161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 朋美 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (60847797)
山本 有恵 京都精華大学, その他の部局, 講師 (00827503)
鎌田 磨人 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (40304547)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 環境デザイン / 子ども / アクティヴィティ / 生態学 / 心理学 / 景観生態学 / 環境教育 / 風土性 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもにとって自然の中での「遊び」や「学び」は、心身の発達の上で重要な役割を持っており、自然環境が人間に供給する重要な生態系サービスとして健全に機能することが求められる。このため、身近に残された緑地や河川などの自然空間やオープンスペースを、生物多様性を保全しながら、子どもの「遊び」と「環境学習」を目的として再生・創造していくことは重要な課題である。研究代表者の伊東は、2002年から現在に至るまでノルウェーの共同研究者Prof.Fjortoft(HSN)と環境教育に関する共同研究を継続するとともに、2012年から、Prof.Hostetler(University of Florida)と生物多様性保全についての共同研究を開始しており、本国際共同研究の基盤となっている。研究分担者の須藤は、伊東、Fjortoftとともに生態学と教育学をベースに設計プロジェクトを実践しながら、ノルウェーと日本における子どもの環境学習と地域の自然環境の活用手法について研究を進めてきた。鎌田は景観生態学をベースとして、地域マネジメントにおける景観生態学の重要性や生態系インフラとしての自然環境の評価と活用について研究を行っており、伊東と地域生態系に配慮したランドスケープデザインについて共同研究を行ってきた。山本は、これまで臨床心理の現場で実践を行いながら、子ども環境について研究を行ってきた。本年度は、本研究共同研究者4名が2019年12月に九州工業大学における第一回科研研究会にて、それぞれの研究情報を共有し、研究計画と役割分担について話し合い今後の方針について決定した。国や地域で異なる生態系の多様性保全とそれを実現するための社会的・文化的なしくみを比較し、地域のランドスケープを生態系教育に活用しながら、地域の自然環境を保全・再生してゆく具体的手法を開発し、環境デザイン・連携のしくみの社会実装を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年11月に本研究プロジェクトが採択になったため、調整を行い、2019年12月に実施した研究会において、身近な自然環境を保全・活用しながら、ランドスケープの設計と国際共同研究を展開してゆくための手法、具体的な研究計画と今後の実践について話し合った。研究代表者伊東は、これまで地域性や風土性を考慮した地域計画の在り方、地域協働による環境デザインの実践とプロセス研究を行ってきた。国際共同研究においては、地域生態系の再生と子どもの直接的体験の観点から、子どものアクティヴィティや環境設計について議論してきた。「環境学習を目的とした教材開発」においては植物の名前等を書いた看板のような間接的体験のためのメディアを設置するのではなく、身体が直接自然に働きかけたり、逆に自然が身体に働きかけるようなデザインを行うことが重要であると考えている。このような観点から、地域の子どもや保護者、小学校の教諭、地方自治体の技術者、日本・ノルウェー・米国の各分野の研究者が協力することによって、「自然の仕組みを知るための直接的な身体的体験や心理的体験ができる環境デザインの実践」と、さらにその効果を高めるための「環境学習プログラム」を作成し実践することとした。この際、異なる領域と言語での共通プラットフォームづくりが重要になる。課題には、研究者相互のメリットの確認、それぞれの国でのスケジュールが異なるなかでの調整、プロジェクトの継続性と展開の方向性の明確化などがあげられ、環境デザイン学、景観生態学、心理学それぞれの分野の役割を活かしながら、進めてゆくこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
国や地域、社会的・文化的背景によって自然環境やその活用方法は異なるため、地域ごとの特色ある生態系や文化的サービスの多様性を活かしながら、国際的な課題である自然生態系の保全と持続可能な活用手法の確立・提案を進める。ノルウェー・米国・日本の研究者の協働による学際的研究として本研究を行うことにより、文化的背景の多様性を包括し、共通の目標である地域生態系の保全と持続可能な活用のための地域生態系の活用・マネジメントの手法について議論しながら研究を進める。2020年度は、今後5年にわたる全体計画に基づき、米国、ノルウェーでの調査、データ収集と並行して、日本国内での環境デザイン・活用の実践とプロセス評価を行う。日本国内での実践プロジェクトとして壱岐南小学校ビオトーププロジェクト、京都市宝ヶ池里山プロジェクト、米国フロリダ大学付属PK.Younge school、ノルウェーOrmasen primary school を研究対象として調査・設計を行う。伊東は、現在フルブライト研究員として(2021年1月まで)フロリダ大学にてProf. Hostetlerと協働研究を進めている。2020年11月にフロリダ大でのグリーンインフラ・ワークショップの開催を予定しており(伊東・Hostetler)、共同研究者の須藤・鎌田・山本は、それぞれの専門領域から本ワークショップに参加するとともに、子ども環境について、生態学、心理学の視点から調査を行う。これらの結果をまとめ、次年度の研究展開に繋げてゆく。しかしながら、2020年6月の時点で米国、ノルウェー、日本ともに、COVID-19の影響が懸念されるため、状況を適宜判断し、連絡を取り合いながら進めてゆくこととする。
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