2019 Fiscal Year Research-status Report
T/J境界絶滅からK/Pg境界絶滅までアンモナイト類の生活史の個体発生変化と進化
Project/Area Number |
19KK0088
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
守屋 和佳 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (60447662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 梢 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 特別研究員 (10708374)
佐藤 圭 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (40780036)
石村 豊穂 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 准教授 (80422012)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | アンモナイト / 白亜紀/古第三紀境界 / 絶滅 / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
白亜紀/古第三紀(K/Pg)境界の地球外天体の衝突に起因する大量絶滅では,恐竜などの陸棲生物に加え,様々な海棲生物も絶滅した.その代表はアンモナイトである.アンモナイト類は,およそ4.2億年前にオウムガイ類から派生したが,その祖先であり,殻形態もよく似ているオウムガイ類は,K/Pg境界の絶滅事変の乗り越え,現在の海洋でも生きている.K/Pg境界において,この2つのグループの絶滅と生存を分けた生態学的要因は未だに明らかになっていない.本研究では,アンモナイト類の成長を通じた生息域の変化を明らかにし,オウムガイ類と比較することで,絶滅をもたらした生態的要因を議論する. 2019年度は,研究代表者,研究分担者,および海外共同研究者のAndrzej KAIM博士(ポーランド科学アカデミー)との間で,2020年度以降の研究計画に関する検討を行った.2016年に研究代表者らがポーランドを訪問して採取した試料に加え,KAIM博士から提供された試料の解析を行い,2020年度の調査計画の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,研究代表者,研究分担者,および海外共同研究者のAndrzej KAIM博士(ポーランド科学アカデミー)との間で,2020年度以降の研究計画に関する検討を行った.2016年に研究代表者らがポーランドを訪問して採取した試料に加え,KAIM博士から提供された試料の解析を行い,2020年度の調査計画の検討を行った. 当初の予定では,ファウスティアンカ地域,チェンストホバ地域を調査の候補地としていたが,予察的な解析の結果,これらの地域を2020年度の調査の対象地域と決定した.調査は,2020年8月に研究代表者の守屋や研究分担者の佐藤,および研究補助者がポーランドを訪れ,KAIM博士とともに実施する計画を策定した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,日本側研究者のうち,守屋,佐藤と研究協力者(大学院生等)が2020年8月に,ファウスティアンカ地域やチェンストホバ地域を対象とした3週間程度の地質調査を行い試料採取を行う.この試料について2020年後半から2021年度にかけてδ18O分析を行うことで,アンモナイトの1個体の標本で卵殻から成体殻までの殻形成水温の個体発生変化を解析する. 上記の研究において,アンモナイト類の殻形成水温が算出されたとしても,そのアンモナイト個体が棲息していた時代の水柱の表層から底層までの鉛直温度勾配がわからなければ,アンモナイト類の殻も形成水深を導くことができない.そこで,水深毎に棲み分けを行っていることが既知の浮遊性有孔虫と底生有孔虫のδ18O分析から,ジュラ紀から白亜紀の海洋の鉛直温度勾配を決定する.浮遊性有孔虫が出現していないジュラ紀前期から中期については,二枚貝が浮遊幼生期に形成する胎殻に着目し,このδ18O分析を行うことで表層水温を決定する.また,これまでの予察的研究において,有孔虫化石のような微小な化石を採取するためには,1試料地点につき1Kg程度の泥岩を洗浄する必要があることがわかっており,佐藤と研究協力者は調査終了後の4週間程度ポーランドに滞在し,試料の洗浄処理等を実施する. 上記のアンモナイトの結果と有孔虫の結果を比較することで,アンモナイト類の卵から成体までの棲息水深や棲息場を導出し,白亜紀後期のアンモナイト類の生活様式・生活史の個体発生とK/Pg境界での絶滅との関連を議論する.
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Causes of Carryover |
交付決定後,2019年度内にポーランド科学アカデミーを訪問する日程調整が困難であったことから,ポーランド科学アカデミーのKAIM博士との連絡を電磁的通信により行った.また,2020年度のポーランド現地調査をより充実して行うために,次年度使用額を一定程度確保した.
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