2019 Fiscal Year Research-status Report
Multi-timescale variation of oceanic crust formation
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19KK0090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖野 郷子 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30313191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 昌和 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (80780486)
羽入 朋子 神戸大学, 海洋底探査センター, 講師(研究機関研究員) (10826910)
佐藤 太一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50613246)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 中央海嶺 / 海洋地殻 / 磁気観測 / 海水準変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の中央海嶺が生み出す海洋地殻は多様な構造を示す.従来,この多様性は場所ごとの違い=空間変動として捉えられてきたが,最近では海洋地殻生産プロセスの時間変動が注目を集めている.本研究では,海洋地殻生産プロセスの時間変動はそれぞれ異なる要因に基づく異なる時間スケールの変動の重ね合わせであるとの仮説に立ち,3つの時間スケールの変動を海底観測によって捉え,変動の要因を考察し,マルチタイムスケール海洋地殻生産モデルを構築することを目的とする. 研究の中心となるのは,2020年10月に実施する中央インド洋海嶺中部(大半がモーリシャスEEZ内)における研究船を利用した海底観測, および観測後の海外機関におけるデータ解析・モデル構築である.2019年には観測準備及びパイロット観測として東太平洋海膨ならびに南東インド洋海嶺における短期変動観測を実施する計画であった(分担者の藤井が観測を担当). パイロット観測は,白鳳丸KH-19-6 Leg3およびKH-20-1において,それぞれチリ海嶺とインド洋海域において地形観測と深海・海上曳航磁気観測を実施した.チリ海嶺に直交する測線では,船からの地形・表層構造の観測,通常の海上曳航プロトン磁力計の観測を実施し,良好なデータを取得した.これにより,明瞭な地球磁場逆転期を含む約440万年の海底の変動を得ることができた.南東インド洋海嶺では,海嶺に直交する測線で深海曳航磁力計観測を実施する予定であったが,悪天候のため観測海域の変更を余儀なくされ,南緯40度東経110度付近で観測を行った.曳航深度は3500-4000m,測線長は約70kmで,海底年齢が29百万年から33百万年の磁場変動を捉えることに成功した. また,次年度の観測に向けて磁力計システムの改良(圧力計の付加等)を行ったほか,観測に必要なデータ通信ケーブル等を購入した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度予定していた観測は,一部は悪天候のため当初とは異なる測線での実施となったが,概ね良好なデータが取得でき,パイロット観測としては十分である.2020年度の共同研究航海に向けての準備は,観測機器の整備およびモーリシャス研究者との連絡調整を実施した.機器の整備はほぼ完了し,深海曳航磁力計については,パイロット観測で稼働状況も確認することができた.一方,モーリシャスのとの調整については,研究代表者の所属する東京大学大気海洋研究所とモーリシャス機関との間で,共同研究の枠組みのための覚え書きを策定し,最後に署名を残すのみとの段階まできていたが,2月以降のCOVID-19の感染拡大により中断し今に至っている.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降の共同研究航海,研究者交流に関しては,現在の世界の感染状況を見ると当初計画が不可能であることは明白である.現時点では,感染第2波,第3波とワクチン等の開発状況の予想がつかず,フィールド調査を含む国際共同研究が主眼の本課題においては,計画変更の方策を立てることも非常に困難である.今年度後半の世界状況を見て計画を策定しなおすが,2年程度の研究の中断が選択できることが望ましい.
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Research Products
(5 results)