2022 Fiscal Year Research-status Report
Mantle-crust interactions in plate subduction zones of the early Earth
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19KK0092
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森下 知晃 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (80334746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 輝 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), Young Research Fellow (10845100)
谷 健一郎 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (70359206)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | プレートテクトニクス / 島弧マントル / 超苦鉄質岩 / プレート沈み込み / 太古代 / 地球初期 / クロミタイト / アノーソサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではグリーンランド南西部に分布している太古代地質帯中の超苦鉄質岩体を研究対象とし,地球初期のマントル情報と超苦鉄質岩体が記録している太古代テクトニクスの解明を明らかにすることを目的として行っている。本年度の研究実績は以下のとおりである。 調査地域に露出している超苦鉄質岩石の記録解読:本研究で調査を行った超苦鉄質岩体はその特徴から以下の3つに分類される:(1)複数の交代作用の影響を強く受けている岩体,(2)変蛇紋岩,(3)マグマからの結晶集積岩。(1)は周囲の変成岩・花崗岩,および超苦鉄質岩石を貫入する花崗岩類などの影響を受けて,含水鉱物の形成,輝石の形成の影響を強く受けている(Nishio et al., 2022 Jour. Petrol.)。(2)の変蛇紋岩は,その鉱物組み合わせ,地球化学的特徴から一度蛇紋岩化した岩石が2GPaを超えるような高圧安定下で変成作用によって脱蛇紋岩化した岩体であると解釈した。このような地温勾配は,この岩体が沈み込み帯と類似するような低温・高圧条件を経験した可能性を指摘した(Guotana et al., 2021 Geosceince Frontiers)。(3)の岩石は,(1)や(2)の特徴とは異なり,その鉱物化学的特徴から,マグマからの結晶集積岩でより初生的な特徴を有している可能性が高い。 これらの成果を受けて,太古代地質帯のかんらん岩の特徴と現在のかんらん岩(中央海嶺近傍で採取された深海性かんらん岩)および、部分溶融程度が高い溶け残りかんらん岩と解釈されている超枯渇かんらん岩体との比較が必要であると考えて,それぞれについて研究を行った。太古代を特徴づけるクロミタイトーアノーソサイト岩体の野外調査:太古代地質帯にのみ産するアノーソサイト岩体の調査を行った.それらに伴うクロミタイトも含めて多くの試料を採取できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定されていた野外調査が二年遅れた結果,試料の解析が十分に進んでいない.ようやく2022年度に調査を行うことができて,十分な試料が採取できた.試料の運搬にも時間がかかったことによりようやくこれらの試料の解析が行える準備が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に採取した試料の解析:2022年度に採取された試料の年代測定を行い,形成された時代を決定する.また,これらの岩石学的・地球化学的特徴を明らかにして,これらの岩石の形成履歴の推定から形成テクトニクス場について明かにしていく予定である.
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Causes of Carryover |
野外調査ができない期間が生じたため,野外調査計画が大きく遅れることとなった.2022年度に野外調査を行うことができたため,これらの試料の解析と成果報告に助成金を使用する予定である.
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Research Products
(9 results)