2020 Fiscal Year Research-status Report
Designing Super-survival System by Studying Bacterial Biofilm Formation
Project/Area Number |
19KK0103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加納 剛史 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80513069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 洸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (10827611)
石黒 章夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90232280)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 自律分散制御 / バイオフィルム / サバイバビリティ / 蝋燭振動子 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,環境への適応戦略を自律的に創出し,過酷な環境下でも機能する「サバイバビリティ」の高い人工物システムの設計論構築を目指す.目的達成のため,バクテリアのバイオフィルムが示す環境適応戦略の発現原理を解明する.バイオフィルムは,複数のバクテリアと場の間の相互作用により自己組織的に形成された構造体であり,個々のバクテリアの足し算を超えた強靭なサバイバビリティを実現している.英国の浅利はこれまで,枯草菌を用い,1)一部の細胞が犠牲になることで全体の機能を維持する,2)各細胞が一時的に栄養を摂取制限することで全体の細胞を共存させる,といった利他的な戦略がサバイバビリティ実現の鍵であることを示した.本研究では,このようなサバイバル戦略の発現メカニズムの解明を試みる. 当初,遺伝子ノックアウトにより利他的な戦略を封じられた個体群を徐々に環境を厳しくする実験条件下で複数世代にわたって培養し,個体群が生き延びるための戦略をどのように創出するかを観察する予定であったが,議論の結果この実験は技術的に困難であることが判明した.次に,バイオフィルムのサバイバビリティを模擬する実験系である蝋燭振動子に着目し,環境が変化しても蝋燭の炎が消えずに残り続けるための制御方策を検討したが,この実験も望ましい実験結果が得られなかった. その一方で,COVID-19の流行と経済活動のダイナミクスを記述する系が,バイオフィルムと類似性のある利他性を活用したサバイバビリティの高いシステムであることを発見し,その数理モデリングとシミュレーションを行った.その結果,COVID-19流行下でもしぶとく経済活動を維持し続けるための方策を提案することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初のバイオフィルムを用いた実験は順調に進まなかったものの,COVID-19の流行と経済活動のダイナミクスを記述する系が,バイオフィルムと類似性のある利他性を活用したサバイバビリティの高いシステムであることを発見し,同システムについてサバイバビリティの実現方策を提唱することに成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
バイオフィルムやCOVID-19の系でこれまでに得られた知見をもとに,利他性を活用したサバイバビリティの高いシステムの設計論を確立し,群ロボットを開発してその有用性を検証する.以上を通して,一見異なる系にも通底する制御原理を導き出す.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため海外出張ができず,当初予定より旅費が少なかった.また,共同研究先の英国の研究室にて研究補助の人件費を計上していたが,コロナの影響で人件費の支出もなくなった.当面海外渡航や人件費の支出は難しいと予想されるため,主にロボット製作などに必要な物品を購入予定である.
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Research Products
(5 results)