2020 Fiscal Year Research-status Report
Usable traditional masonry construction-Development of new masonry houses in the mountainous areas in Nepal
Project/Area Number |
19KK0112
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大氏 正嗣 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (70709716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 天心 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (40447652)
籔谷 祐介 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (40730825)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 改良土 / 添加水量 / 組積造 / 伝統建築 / 岩塩 / 添加元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に4度の渡航を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の広がりにより全くネパールへの渡航ができず、日本国内で可能な実験を継続して実施した。ネパールで改良に効果のあった土が赤土であり、日本の赤土でも岩塩による強度増大効果があるか、またどの成分によりそれが引き起こされているのかを検証した。加えて、昨年度のネパールでの実験と同様に水分量の違いによる強度変化についても確認した。 結果として、日本の赤土(と呼ばれる比較的黄色い土:栃木県産)においても岩塩添加による強度増強効果が確認できた。ネパールの赤土では概ね2.5倍程度の強度増大であったが、日本の場合2.0倍程度となっている。次に添加する水分量は、やや湿った土を用いた場合土と石灰の重量の15%程度の水分添加が最も効果的であることが分かった。これも、概ねネパールでの結果と相応している。ただし、ネパールの場合には使用する石灰が生石灰のため若干添加水分量が多くなっている。これは、生石灰と水分が反応して消石灰に変化していることが原因と推測している。 更に、赤土のいずれかの成分と岩塩のいずれかの成分が反応して強度増加が生じていることから、岩塩に変えて複数の試薬を添加した結果について検証した。具体的には鉄化合物、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物について確認を行った。だが、この検証ではマグネシウム化合物に若干の強度増大効果がみられたものの、それ以外は効果なしあるいは強度低下を引き起こした。マグネシウムについても、岩塩と比較して多量に使用しても効果は限定的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染症による影響で、計画していた年4度のネパール渡航が一切行えなかった。また、ネパール国内でも大きく流行していたため、遠隔相談と依頼による実験遂行も行えなかった。加えて、ユネスコとも状態が見通せなかった共同研究調印に関する打ち合わせを進めることができなかった。感染症の流行が収まり渡航が再開されるまでは、現地での活動が難しいため引き続き日本で可能な研究を進めていくことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症の広がりが抑制され渡航が再開されるまでの当面の間、現地での活動ができない状況にあり、日本で進められる新たな組積造住宅設計方法に関するシミュレーションを今後先行させる方向に変更し、研究を遂行して行く。特に、本年度は日本の赤土でも岩塩による強度増大効果が確認できたため、これを引き起こしている要因を物理試験および化学分析により確認する。現状、蛍光分析等により混合前と混合後の成分分析を進める予定としている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症により日本からの出国およびネパールへの入国が閉ざされ、3名の渡航費が全く使用できなかったことが理由である。現時点では、日本国内で可能な研究を引き続き進めると共に、渡航が可能になった時点で速やかにネパールを訪問し、トリブバン大学およびユネスコとの共同研究調印を推し進める。
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