2022 Fiscal Year Research-status Report
Usable traditional masonry construction-Development of new masonry houses in the mountainous areas in Nepal
Project/Area Number |
19KK0112
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大氏 正嗣 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (70709716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 天心 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (40447652)
籔谷 祐介 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (40730825)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 組積造 / 目地 / 赤土 / 岩塩 / 塩化物 / 強化 / 3Dスキャン / 歴史建築物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネパールへの渡航が難しかった前半は、日本の赤土を用いて界面活性剤や多糖類を添加した場合に加え、各種塩化物複数添加の効果を比較検討する実験を行った。その結果として、界面活性剤や多糖類を加えた場合には、流動性は高まるものの強度向上は見られなかった。一方で、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムの三種類を、単独添加、複数添加した場合の効果を検証したところ、複数添加した場合に明らかに強度向上性能が高まることを発見した。 9月になりネパール渡航が可能となったため、コロナ感染症により途絶えていたネパール各種機関との関係の再構築を図ることとした。これまで連絡を取っていたトリブバン大学とユネスコのカトマンズ事務所に加え、新たにネパール政府考古局とKhpowa工科大学による研究チームを作るためのミーティングを実施した。 また、2023年3月には国際会議であるCEAC2023において、ネパールで実施してきた岩塩等を添加した場合の研究結果についての発表を行った。この発表内容はSCOPUSに掲載される予定である。また、この論文は優秀論文賞候補にも取り上げられた。 その後、3月に組積造の設計やコミュニティデザインを担当する分担研究者と共に再度ネパールを訪問し、コロナ感染症により止まっていた組積造の新たな設計マニュアル作成のための体制構築を図った。その中で、ネパールの地方都市において組積造によるコミュニティセンターを建設する計画があることから、これを日本とネパールの共同体制により進めるという基本的な合意を取り交わした。今後、詳細の文書を作成する予定である。また、本研究の派生形としてカトマンズの世界遺産の3Dデータスキャニングを行うための基本体制についても議論をし、継続して体制構築に努めることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症の影響で年前半はネパールへの渡航が容易ではなかったこと(渡航前後の拘束時間が長すぎた)、3年近く両国間での交流が行われずまた一部担当者の移動もあり、関係の再構築に時間が取られている。そのため、日本国界の土を用いた研究は継続できているが、ネパールでの研究体制がまだ十分復帰できていない。 一方で、時間経過によって新たな調査内容への発展も見られる(3Dスキャニングによる歴史的建築物のアーカイブ化、調査研究)ため、これから研究内容の修正を行いながらより貢献できる体制を早急に構築すべく動いている。 また、山間地でも既にセメントやブロックを用いた住宅再建が進んでいることを確認したため、組積造建築の可能性を再構築できる方向性に修正が必要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年3月の渡航時にネパールのトリブバン大学と、①組積造によるコミュニティセンターの建設を富山大学と共同で進めることの口頭合意をした。②ユネスコ並びにネパール考古局、トリブバン大学、Khpowa 工科大学での歴史的建築物の補修に関する共同体制を構築することについても基本合意した。③新たに、カトマンズの世界遺産を含めた歴史的建築物の3Dスキャニングを行うことについても話し合いを行った。 ①、②については、共同研究のための合意文書を2023年度早期に作成・調印する。①については、これを実施するための設計マニュアル作りを、既にネパールで作成中のものをたたき台として構築していく。②については文書を交わしたのちに、日本での研究結果をネパールの土で再現できるかどうかについて検証を行う。また、ネパール各地の土を採取し、その性能の比較を実施する予定である。 ただ、③の3Dスキャンについては相当のマンパワーと時間が必要になるため、現在の体制では不足することが共通認識であり、まずは現状の体制で少しずつ進めながら、今後は新たな資金や体制を構築することを模索する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症により2年と10か月間、ネパールへの渡航ができなかったため、助成金の執行に遅れが出ている。ただし、執行額には反映されていないが2023年3月~4月にかけて既に研究代表者および研究分担者が渡航しており、渡航できなかった期間に途絶えてしまった関係性の再構築を実施し、本年度以降の執行計画について調整を行っっている。 2023年度にも合計4回・人の渡航を計画しており、組積造を活用したコミュニティセンターの建設のためのマニュアル構築並びに設計を進める計画である。また、9月以降に共同研究体制を再確立すると共に、ネパールの土を利用した実験を再開し、組積造強化のための取組みを推し進める。
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