2020 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール構造解析によるドメイン構造評価と物性解明
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19KK0124
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
漆原 大典 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60824886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335089)
浅香 透 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80525973)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | マルチスケール構造解析 / フェロイック物質 / ドメイン構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究では強誘電体試料に対して温度、応力、電界を組み合わせた物性評価を行う。更に、評価スケールの異なる手法を横断的に駆使したマルチスケール構造解析を実施することで、マクロな物性とミクロな結晶構造をつなぎ合わせ、フェロイック物質のもつドメイン構造と物性の相関を明らかにする。当該年度の研究計画では国際共同研究先で複数の外場印加時における物性測定を行う予定であったが、渡独することができなかったため、共同研究先で合成した無鉛強誘電体試料の組織観察に注力した。更に、次年度以降の物性評価に備えるため、温度可変計測ができる環境を整備した。 エアロゾルデポジション(AD)法により合成した強誘電体膜には、成膜時に残留応力が生じ、原料粉末の形状や組織に影響を与えることが予想される。透過型電子顕微鏡法を用い、共同研究先で作製したAD膜の残留応力や結晶子径の評価を進め、誘電特性との相関を調査した。更に、最適なアニール条件を探索するために、加熱下での直接観察を行い、走査透過型電子顕微鏡法や収束電子回折法を駆使することで残留応力の緩和や組織変化が生じる温度を明らかにした。 また、ドメイン構造の温度依存性の評価を行い、強誘電および強弾性特性における組織の影響を調査した。逐次相転移に伴うドメイン構造やドメイン壁の変化を観測し、90および180°ドメインの成長過程や組織内の残留応力が緩和される様子を明らかにした。元素置換により相転移点を制御した試料でも同様な測定を行い、誘電特性と構造の相関が明らかとなった。ドメイン壁の変化と強弾性特性の相関に着目し、より詳細な調査を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度目標とした物性評価を行うことができなかったが、微細組織観察に注力して研究を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した試料に複数の外場を印加した際の物性測定およびドメイン観察を行う。異なるスケールからドメイン構造の情報を得て、物性との相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究代表者がドイツに渡り実験を行う予定であったが、コロナ禍のため入国が困難となり、旅費として計上していた予算を繰り越した。今年度分の旅費として活用するとともに研究をより一層推進するために物品費として用いる。
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Research Products
(2 results)