2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of new vortex dynamics into complex fluid systems focusing on functional structures of vortices
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19KK0127
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大村 直人 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50223954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 孝史 神戸大学, 工学研究科, 助教 (20513550)
日出間 るり 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20598172)
増田 勇人 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90781815)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 渦動力学 / 複雑流体 / プロセス強化 / マルチスケール解析 / 機能構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、複雑流体として、1) 非ニュートン性の強い流体、2) 高濃度分散相を有する混相流体、3) 粘弾性流体、4) 液滴流体の4つを取り上げ、それぞれの複雑流体が渦の発生、消滅、サイズ、形状、動特性の制御性にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とする。本研究では、「渦の動力学(Vortex Dynamics)」を固体集積、混合・反応、分級、輸送といった渦の持つ機能構造に着目し、化学工学的に体系化することを目的とする。 1) 非ニュートン性の強い流体については、shear-thinning流体を用いた円錐型テイラー渦流における混合特性を数値解析により調べ、ニュートン流体における混合特性に比べて全体混合が促進されることを見出した。また、Hong Kong City UniversityのWang博士とともに、複雑流体系の渦動力学についてテイラー渦流系を中心に議論した論文を出版した。 2) 高濃度分散相を有する混相流体については、新たにオーストラリアのRMITとCISROとで、主に鉱物プロセスの攪拌操作を対象にした撹拌槽壁へのスケールの付着軽減に関する研究を行い、撹拌槽に設置されたバッフルと槽壁との間に隙間をとることが有効であることを見出した。この成果について学術誌に論文を公表した。 3) 抗力低減棒状ミセル水溶液の伸長レオロジー特性が2次元乱流における渦の変形と乱流統計に及ぼす影響を調べるための実験的研究を行った。流れの渦放出と乱流統計量は、棒状ミセルの形成に影響されることがわかった。 4) 液滴流体については、国立台湾大学、Hong Kong City Universityとの共同研究に向け、Leidenfrost現象に関する実験装置の整備を行い、液滴輸送、液滴衝突の制御に関する基礎的実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4つの研究課題について、2021年度以降に行う予定である、国立台湾大学、Hong Kong City University、RMIT, CSIRO等での滞在研究のための準備はほぼ完了しているが、新型コロナウイルス感染拡大により、相手先への訪問、滞在ができておらず、相手機関での研究が実施できていない。オンラインミーティング等により、議論を行っていること、 機関内での研究は遅滞なく進めていることから、大きな遅れはないが、相手機関での長期滞在による研究が実施できていないことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 非ニュートン性の強い流体における渦の発生、消滅、動特性の制御について、増田が引き続きTung教授、Wang博士と現地滞在またはオンラインを活用して、溶液のミクロ構造に着目したマルチスケール解析を引き続き行い、テイラー渦流反応装置を中心とした食品プロセスのプロセス強化に関する応用的研究を推進する。 2) 高濃度粒子懸濁系における渦流動と粒子の相互作用の解明について、大村、増田、堀江がRMITとCSIROと共同研究を行い、撹拌槽壁に付着するスケールの問題について検証を進める。。 3) 粘弾性流体における渦の発生、消滅、動特性の制御については、日出間が高分子溶液の二次元乱流流れについて、マルチスケールシミュレーションを国立台湾大学等の国際共同研究先にて行う。 4) Leidenfrost現象を利用した液滴輸送制御については、堀江、大村が、Leidenfrost現象を利用した液滴の輸送・衝突制御実験をSun教授の研究室に滞在して研究を行う。大村は、Wang博士の研究室でLeidenfrost現象を利用した新しいエネルギーシステムの開発を引き続き検討する。
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Causes of Carryover |
2020年初頭からの新型コロナ感染拡大の影響により、台湾、香港への渡航、滞在がともにできなかったことにより、当初予定した渡航旅費が執行できなかったため次年度使用が生じた。新型コロナウイルスの感染が収束し、渡航制限が解除した段階で、できるだけ早期に学生を含めた若手研究者を派遣し、相手先にて滞在研究を進める予定である。
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