2022 Fiscal Year Research-status Report
Site-specific chemical adsorption on graphene nanoribbon toward active band-gap engineering
Project/Area Number |
19KK0136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
猪瀬 朋子 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (10772296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 良卓 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80780634)
田中 啓文 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (90373191)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | グラフェン / グラフェンナノリボン / 探針増強ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、単層グラフェンシート上の任意位置へ高い空間分解能で分子を共有結合的に表面修飾する新たな方法を確立した。具体的には、アルキル鎖を有する短鎖脂肪酸水溶液中にグラフェンシートを浸漬し、488 nmの光照射を行うと、光照射箇所のみに選択的に短鎖脂肪酸に由来する分子を表面修飾可能なことを明らかにした。ラマン、赤外分光法による観察から、グラフェンシート表面上には、短鎖脂肪酸に由来するメチル基、メトキシ基、アセチル基が共有結合修飾されていることが明らかになった。また、アルキル鎖長の違いによりグラフェンシートへの電荷ドーピング効果を制御可能であることも確かめている。この新たな光誘起表面修飾手法は、グラフェンシート上でのサイト選択的な表面修飾をサブマイクロメートルスケールで制御可能であり、高い分解能で表面分子修飾を実現する手法として、本年度学術論文にも報告している。 本年度前半は、COVID-19の影響により引き続き海外出張が難しい状況が続いたが、プロジェクトメンバーとの打合せを定期的に行うことで円滑なプロジェクト遂行に努めた。年度後半には、ベルギールーバン大学・Steven De Feyter教授と、ワークショップ「The SPIRITS/LIMNI joint workshop Innovative materials and nanoscale analysis -to unravel complex molecular systems-」を、12/8-9の日程でベルギー・ルーバン大学にて主催することができた。ヨーロッパ、日本から、特にナノ材料やナノ分析を専門とする11名の研究者に招待講演を依頼し、研究者ネットワークを広げるとともに、本プロジェクトの今後の可能性についても議論を行った。本年度、プロジェクトに関連する論文を3本報告し、招待講演1件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェンシート上で光誘起による表面分子修飾方法を確立できたことで、グラフェンシート上での表面分子修飾箇所を容易に制御することが可能になった。本プロジェクト申請当初、グラフェンナノリボン上のサイト選択的な表面分子修飾を、修飾する分子の持つ電子状態の違いで制御することを検討していたが、光誘起による表面修飾方法が確立したことで、当初予定していた方法と比較して非常に簡便かつ、サブマイクロメートルスケールの高い空間分解能でサイト選択的な表面分子修飾が可能となった。この研究成果は、関連論文を加えて3本の学術論文として報告しており、概ね順調に研究プロジェクトを遂行している。 また、共同研究先であるルーバン大学でプロジェクトメンバーであるSteven De Feyter教授とワークショップを開催することができたことで、ルーバン大学の新たなメンバーとのネットワークを形成することができた。また、2019年度以来初めて対面での打合せが実現したことで、今後のプロジェクトの遂行方法を議論することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフェンシート上に光誘起で分子修飾する新たな方法を確立できたため、これをグラフェンナノリボンへ応用し、同様の表面分子修飾を試みることで、グラフェンナノリボン上での効率的なサイト選択的表面分子修飾を実現する。実験の際は、ナノリボンエッジとそれ以外の部分で、分子修飾に必要となる条件が異なるのか等についても明らかにする。また、光誘起により修飾可能な分子の可能性を広げるため、分担者・東北大小関と打合せを行い、新たな分子設計を検討する。 これまでの分担者・九工大田中が開発した方法で作製したグラフェンナノリボンのTERS測定から、2種類のエッジ構造を有する中間体が生成されている可能性が示唆される結果が得られた。この試料についてTEM測定を行うことで、エッジ構造の詳細を明らかにする予定である。これにより、分担者・九工大田中開発のカーボンナノチューブの化学的アンジップ法によるグラフェンナノリボン生成反応過程についてより詳しい知見を得る。また、これまでは、超音波時間1時間で得られるグラフェンナノリボンのTERS測定、解析を主に行ってきたが、超音波時間1時間では、ナノリボンそれぞれの欠陥量の違いに大きな不均一性があることが明らかになっている。今後は、異なる超音波時間で得られたグラフェンナノリボンについても、欠陥量の不均一性を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は徐々にCOVID-19の影響が緩和され、2022年度の後半にはベルギー・ルーバン大学へ出張し、ワークショップを開催することができたが、予定していた国際学会での現地発表やルーバン大学での実験のための長期出張ができなかったため、これらに必要な経費を繰り越した。
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Research Products
(9 results)