2019 Fiscal Year Research-status Report
Application of heteroatom-embedded porphyrins to photodynamic therapy
Project/Area Number |
19KK0138
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50281100)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 由寛 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00347270)
Shin Jiyoung 名古屋大学, 工学研究科(国際), 特任教授 (30622295)
福井 識人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70823277)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
|
Keywords | 光線力学療法 / ポルフィリン / クロリン / がん細胞 / 一重項酸素 / 近赤外 |
Outline of Annual Research Achievements |
光線力学療法(Photodynamic Therapy = PDT)とは、光励起による一重項酸素発生に基づく癌治療であり、低侵襲癌治療法として注目される。 しかし、深部癌を治療するには生体透過性の高い近赤外光で励起できる増感剤を開発する必要がある。本研究では、日本ー韓国ーフラン スの三国間で国際共同研究を行い、ヘテロ元素を含む新規ポルフィリン誘導体を用いて高活性近赤外PDT光増感剤を開発することを目的としている。 昨年度は研究協力者をフランスモンペリエ大学のRicheter博士研究室に2ヶ月間(1月上旬~3月上旬)派遣した。毎日密接なディスカッションを行いながら研究を進めることにより、臨機応変に適切に軌道修正しながら研究を進めることができた。その結果、ジアザポルフィリンの周辺部に糖鎖を導入した新規ジアザポルフィリン誘導体の合成に成功した。ジアザポルフィリンは、既に高いPDT活性を示すことを見いだしている。糖鎖の導入により親水性が向上し、細胞導入が効率化されると同時にがん細胞への選択性が格段に向上するものと期待される。今年度この点について評価を進める予定である。 また、ジアザポルフィリンの構造異性体であるジアザコルフィセンの合成に世界で初めて成功した。ジアザコルフィセンは2つの隣接するメゾ位に2つの窒素をもつ。このため、窒素上に存在する2つの非共有電子対間に反発が生じ、不安定すると考えられる。実際、ジアザコルフィセンの塩基性はジアザポルフィリンと比較して破格に高く、カルボン酸により容易にプロトン化できることが明らかになった。今年度は、ジアザコルフィセンの光物性を詳細に調査する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は研究協力者をフランスのRicheter博士研究室に2ヶ月間派遣し、密接なディスカッションを行いながら研究を進めた。その結果、ジアザポルフィリンの周辺部に糖鎖を導入した新規ジアザポルフィリン誘導体の合成に成功した。また、ジアザコルフィセンの合成に初めて成功した。このように順調に候補化合物の合成に成功しており、研究は当初の計画以上に順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度合成に成功した周辺に糖鎖を有する新規ジアザポルフィリン誘導体のPDT活性の評価をGary-Bobo博士とその共同研究者からなるチームとの共同研究により評価する予定である。この目的のため、フランスに共同研究者1名を3ヶ月間派遣することにしている。すぐにでも派遣したい状況であるが、新型コロナウィルス感染症のフランスでも蔓延状況を鑑み、先方とも相談して派遣時期を慎重に判断する。 また、昨年度、ジアザポルフィリンの構造異性体であるジアザコルフィセンの合成にも成功した。ジアザコルフィセンの光物性について評価しつつ、Kim教授率いる韓国チームとの協力により、一重項酸素発生効率を決定する。この化合物についても、Gary-Bobo博士との協力によりPDT活性を評価する。
|
Causes of Carryover |
派遣する若手研究者と派遣先との日程の調整がつかず、派遣期間が予定よりも1ヶ月短くなったことによるものである。未使用額については、今年度に若手研究者の派遣旅費およびフランス・韓国の共同研究先にに送付する候補化合物の合成用試薬費用として使用する予定である。
|
Research Products
(10 results)