2020 Fiscal Year Research-status Report
Application of heteroatom-embedded porphyrins to photodynamic therapy
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19KK0138
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50281100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 由寛 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00347270)
Shin Jiyoung 名古屋大学, 工学研究科(国際), 教授 (30622295)
福井 識人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70823277)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | ジアザポルフィリン / 光線力学的療法 / ヘテロ元素 / がん / 一重項酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポルフィリンの酸化的開裂反応の条件を見直すことにより、その酸化開環体であるビリンジオンを鉄ポルフィリンから簡便に高収率で得る合成法を開発した。これに無水トリフルオロメタンスルホン酸を作用させることで5-オキサポルフィリニウムカチオンのフリーベース体を得た。この化合物では、一般的なポルフィリンとは異なり内部の2つの水素がcis位に位置する方が有利であった。これは正電荷の非局在化に由来するものと考えられる。この化合物は複雑な吸収スペクトルや二重蛍光性を示した。種々の分光学的測定や理論計算により、これらの光学特性がcis体とtrans体の両者が共存することに由来することを明らかにした。また、韓国側との共同研究により、5-オキサポルフィリニウムカチオンの励起状態の特性を詳細に明らかにすることができた。 一方、ジアザポルフィリンのアリール置換基上だけを選択的に臭素化する手法の開発に成功した。この方法を用いて鈴木ー宮浦カップリング反応を活用することによりジアザポルフィリンの光学的な特性を損なうことなく官能基化することを可能とした。さらにこの手法を用いることにより、ジアザポルフィリンに糖鎖を導入することにも成功した。糖鎖をもつジアザポルフィリンは優れた親水性を示すため、これまでのジアザポルフィリンよりも高いPDT活性を示すことが期待される。また、ジアザポルフィリンが細胞内に取り込まれる際に、糖鎖によりがん細胞選択性が向上することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本側での合成実験は極めて順調に進行しており、5-オキサポルフィリニウムカチオンや糖鎖で修飾されたジアザポルフィリンの合成を達成した。フランス側に日本側から若手研究者を派遣できなかったものの、化合物を送ることによりPDT活性評価実験を行っており、成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
5-オキサポルフィリニウムカチオンや糖鎖で修飾されたジアザポルフィリンのPDT活性の評価を行い、高い活性が得られた化合物については魚を用いたin vivoでの活性評価を行う予定である。できれば今年度中に研究協力者をフランスに派遣して、これらの実験を行う。 一方で、5-オキサポルフィリニウムカチオンやジアザポルフィリンについては、ポルフィリン骨格の中心に金属を導入して錯体を合成し、その光物性を韓国側との共同研究により明らかにしたい。特に白金の導入によって励起状態の三重項への項間交差を促進することでで、一重項酸素発生効率を向上させることを狙う。
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Causes of Carryover |
未使用額は、新型コロナ感染症の蔓延の影響により研究打ち合わせや学会での発表などの機会が減ってしまい、旅費の使用がができなかったことによる。実施予定であった若手研究者のフランスへの3ヶ月間の派遣も行えなかった。未使用額については、今年度の研究を推進するための物質合成に必須となる合成用試薬費用として使用する予定である。
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Research Products
(14 results)