2020 Fiscal Year Research-status Report
XAS Analysis of Catalytically Active Species in Olefin Polymerization/ Dimerization using Molecular Complex Catalysts with Early Transition Metals
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19KK0139
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野村 琴広 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20304165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 直輝 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (00723529)
畑田 圭介 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (00813700)
平山 純 京都大学, 実験と理論計算科学のインタープレイによる触媒・電池の元素戦略研究拠点ユニット, 特定助教 (10816888) [Withdrawn]
山添 誠司 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40510243)
吉川 聡一 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (80878322)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | 有機金属化学 / X線吸収分光 / 活性種解析 / 前周期遷移金属錯体触媒 / XAFS解析 / 分子触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究は、オレフィンの精密重合や選択的二・三量化の高性能分子触媒の活性種解析で、専門分野の異なる若手の研究分担者や海外第一線の物理学者と連携し、欧州放射光施設での触媒溶液のX線吸収分光測定や海外の共同研究者が開発したスペクトルの解析プログラムを通じて、溶液中の触媒活性種の電子状態・構造の解明を目的としている。 2020年度はコロナ禍の影響で欧州への出張は不可能となったが、国内放射光施設(SPring-8)での測定を重ねて、必要なスペクトルデータを取得した。昨年度に研究分担者とCamerino大学のDi Cicco教授との間で(現地滞在時に)策定した研究指針に従い、山添、畑田、吉川及び野村は、同教授のグループと共同で逆モンテカルロシミュレーション(RMC)を駆使して,XANESスペクトルからV錯体の構造の推定研究に着手している。現在は,構造既知のV錯体を利用してその構造をRMCで推定可能かどうか検証を行っている。 野村と山添、中谷は、配位不飽和4配位型のニオブ錯体の溶液中でのXANESスペクトルにおけるPreEdgeピークを理論計算(TD-DFT)により帰属した。特に理論計算によるスペクトルと実スペクトルとの良い相関がみられ、ピーク位置やその強度が配位子や構造の影響を受けることを明らかにした。また、2019年度に報告したチタン錯体触媒によるスチレンの立体特異性重合とエチレンとの共重合における活性種・反応機構の違いを理論計算により検証した。 山添、中谷、畑田らは、ホスフィン保護Au9クラスター及びチオラート保護Au25クラスターのAu原子および保護配位子のXANES領域のスペクトルシミュレーションに取り組み、理論計算から、Auクラスターの実際のXANESスペクトルを比較的よく再現した。この種の金クラスターの電子状態変化は、配位原子に支配されたAu5d軌道のエネルギーシフトで、酸化状態を変えずに吸収エネルギーを変調させることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で、海外出張が全くできなかったものの、既に策定した研究指針に基づき、共同研究を進めることができた。XANESスペクトルについては、理論計算と実スペクトルとのよい相関が見られる事例も多く、学術論文としての受理・掲載に至っている。特にチタン錯体やバナジウム錯体による成果は、英国化学会の専門誌にPerspectiveとして紹介しており、他の研究成果3件も質の高い成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年からのコロナ禍の影響で、将来の海外出張の見通しがない状況ではあるものの、共同研究を進めることでタイムリーな成果を重ねたいと考えている。スペクトル解析に必要なデータは、国内放射光施設で取得することで対応せざるを状況にはあるが、状況が改善されれば、海外放射光施設での測定を通じて有用な結果を得たいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、当初予定の海外研究機関との研究打ち合わせや海外放射光施設での測定が延期になったため。2021年度に海外渡航が可能になった際には、計画的に執行するつもりである。
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Research Products
(8 results)