2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of near-infrared organic semiconductors
Project/Area Number |
19KK0142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀧宮 和男 東北大学, 理学研究科, 教授 (40263735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 公輔 東北大学, 理学研究科, 助教 (10710212)
大垣 拓也 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (80804228) [Withdrawn]
澤本 尚典 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (90880279)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 近赤外吸収 / 有機トランジスタ / 有機太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
川畑が中心となり実施したアセンジカルコゲノフェノジオン系近赤外材料の開発と応用では、薄膜において近赤外領域吸収帯が分裂し、主ピークが短波長側にシフトする問題があった。これを解決するため、可用性アルキル基の導入位置を変更し、ナフトジチオフェンジオン系において薄膜化により主ピークが長波長シフトすることを確認するとともに、単結晶X線構造解析から分子の相対位置が重要であることも明らかにした。本系は両極性挙動に加えキャリア移動度も高く、近赤外フォトディテクタ材料として有望と考えられる。 一方、澤本が中心となり実施したナフトチオフェンジイミド系を基盤とする有機太陽電池用近赤外吸収アクセプター材料の開発では中央骨格の変更やアルキル置換基の調整により900nmに達する吸収端と9%を超える光電変換効率を示す材料の開発に成功した。これに加え長波長吸収アクセプター材料のための新規電子吸引性終端基の探索を行い、チエノチオエフェン骨格を基盤とする新規終端基が900nmを超える光吸収能と10%を超える光電変換効率を示す太陽電池を可能とすることを見出した。この材料は代表的なアクセプター分子であるY6系よりも長波長吸収を示し、同等の太陽電池特性を持つことからバルクヘテロ縦型フォトディテクタへとしても活用できると期待される。 以上のように、近赤外吸収と半導体特性を両立する材料開発は大きく進展した一方で、共同実験によるフォトディテクタへの応用検討は、期間を通じて十分に実施することが出来なかった。COVID-19の影響のため致し方ない面があり、ボルドー大グループとは今後も共同研究を実施する予定であり、新規材料を活用したデバイス研究を実施する。また、若手研究者が中心となり材料研究とオンラインでの議論を実施したことで、デバイス研究の観点を取り入れ材料を探索したことが、有用材料に開発につながったと考えられる。
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