2019 Fiscal Year Research-status Report
孤児作物在来品種の機能性向上を目指した高効率育種システムの確立
Project/Area Number |
19KK0151
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 良 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80211788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 祥子 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 室長 (20343973)
吉岡 洋輔 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50462528)
白澤 健太 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 主任研究員 (60527026)
星川 健 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (70634715)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | アマランサス / 孤児作物 / QTL / GWAS / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では3年間の研究実施期間を通して、葉菜アマランサスをモデルとして、栄養・呈味成分に関連する主要な遺伝子領域を網羅的に同定するとともに、遺伝的背景を変えずに栄養・呈味成分のみを短期間で改良するための技術と知見を獲得することを目標としている。令和元年度の具体的な研究内容とその成果は次の通りである。 遺伝資源の評価と有望系統の探索では、世界野菜センター(WorldVeg)が保有する遺伝資源について、フィールドフェノミクス装置(LeasyScan、Phenospex社)を用いて、表現型(生態的・形態的形質)に関わる種々のデータを取得し、次年度以降に行うゲノム関連解析および量的形質遺伝子座解析のための表現型の評価法の検討を進めた。 ゲノムワイド関連解析の材料となる遺伝資源約450点(WorldVeg及び米国農務省ジーンバンクから入手)の葉から抽出したDNAを用いてRAD-Seq解析を行い、これら系統の塩基配列情報を取得した。また、このうちの217点の遺伝資源について、Amaranthus hypochondriacusの全ゲノムデータを参照配列として用いて、各系統のジェノタイピングデータ(SNP)を取得した。また、筑波大学が保有する遺伝資源について、葉緑体DNAのmatK領域の塩基配列情報に基づいて種の再同定を行うとともに、QTL解析の材料となる分離集団の親候補系統の固定化を進めた。 逆遺伝学的手法による効率的育種法の構築に向けて、葉菜アマランサスに適用可能な新しいゲノム編集技術を確立するために、Amaranthus tricolor cv. BAYAMを用いて、組織培養実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた遺伝資源の表現型評価、ゲノムワイド関連解析およびQTL解析の準備、及び逆遺伝学的手法による効率的育種法の確立に向けた予備実験が順調に進んだ。ただし、初年度に日本側研究者全員を台湾のWorldVegに派遣し、キックオフミーティングを開催し、海外共同研究相手と今後の研究計画について議論する予定であったが、新型コロナウイルスの問題により延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画通り、遺伝資源の評価と有望系統の探索、遺伝資源のゲノムワイド関連解析と分離集団を用いた量的形質遺伝子座解析、及び逆遺伝学的手法による効率的育種法の構築に関わる以下の実験を行う。 遺伝資源の評価では、WorldVegにおいて遺伝資源約450点の特性データを取得し、種々の特性に優れた有望系統を探索する。遺伝解析では、上記の遺伝資源のSNPジェノタイピングデータを取得するとともに、QTL解析の材料となるF2世代種子を得る。効率的育種法の構築では、葉菜アマランサスの組織培養の実験系の確立に向けて、種々の組織培養法を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度は交付申請時の計画どおり、遺伝解析に関わる消耗品や植物の栽培管理に関わる物品等の購入、本研究の実験補助を行う技術補佐員等の雇用、日本人研究者の海外共同研究機関への派遣、学会での成果発表に関連する出張及び投稿論文の英文校閲等に研究費を使用する予定である。次年度使用額は、新型コロナウイルス感染症の問題で日本人研究者の派遣が中止になったことと、研究費を効率的に使用したことで生じた残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて上述の研究計画遂行のために使用する。
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