2022 Fiscal Year Research-status Report
International joint research for solving food problems caused by root-parasitic weed Striga in sub-Saharan Africa
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19KK0152
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
槇原 大悟 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 准教授 (70452183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 雄一朗 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任教授 (00442989)
菊田 真由実 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (20788418)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 根寄生雑草 / Striga hermonthica / 人工ストリゴラクトン / 自殺発芽剤 / トウモロコシ / ソルガム / シコクビエ / ケニア |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、ケニア農畜産業研究機構キボス支所において、ストライガ種子のSPL7による刺激発芽試験を96穴プレート、250mL容器および5Lポットを用いて行った。その結果、500nMのSPL7溶液を土壌1L当たり400~1000mL施用することで安定的に刺激発芽が起こることが確認された。また、SPL7の濃度を5uMまで高めると、発芽率は低下することが明らかになった。SPL7による自殺発芽効果は、深さ5~10㎝の土壌中で安定していた。一方、深さ2cmの浅い土壌において発芽率が低下した原因として、土壌の乾燥による種子のコンディショニング不良が考えられた。圃場試験においては、500nMのSPL7溶液を1平米当たり約11L施用することにより、深さ2~5㎝の土壌中でストライガ種子の自殺発芽を誘導できることが確認された。 2022年7月に実施した聞き取り調査においては、ストライガ生息域の農家の多くがストライガによる被害を認識しており、防除対策を講じたいと考えているにも関わらず、適切な防除法に関する知識が不足していることが確認された。ストライガ採集地の位置情報を解析した結果、これまでにストライガが確認されていなかった地域にもストライガが侵入し、汚染地域が拡大していることが明らかになった。また、ビクトリア湖沿岸地域ではこれまで生息が確認されていなかったストライガ・アジアティカ(S. asiatica)を初めて発見した。 これまでに採集したストライガのゲノム配列を次世代シーケンサーで解読し、de novoトランスクリプトーム解析を進めた。2022年度のフィールド調査では、FTAカードを利用し、新たに83地点からストライガのDNAを採集した。また、83地点の農家圃場から土壌を採集し、土壌中のストライガ種子密度を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ケニア国内での移動制限は解除されたため、2022年7月に、農家に対する聞き取り調査、FTAカードによるストライガDNAの採集、農家圃場からの土壌サンプリングを行った。また、ケニア農畜産業研究機構キボス支所の圃場での栽培試験も再開した。しかし、2020年度からのコロナ禍による研究の遅れを取り戻すことは困難な状況である。2022年度も、大半の期間、ケニアにおける新型コロナウイルスの「感染症危険情報」のカテゴリーがレベル3(渡航中止勧告)であったため、ケニアへの出張は行わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、新型コロナウイルスによるケニアへの渡航制限は解除されたため、ストライガの出現が最も多くなる7月頃にケニアに渡航し、現地の共同研究者と共同でフィールド調査を実施する。ストライガDNAと土壌サンプルの収集を進めるとともに、農家に対する聞き取り調査を行う。また、これまでにFTAカードに収集したストライガのDNAから多型検出を進める予定である。ケニア農畜産業研究機構キボス支所における圃場試験およびポット試験を行い、SPL7のストライガ自殺発芽剤としての効果を圃場レベルで実証し、SPL7処理技術を確立する。
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Causes of Carryover |
2020年度からのコロナ禍により研究は全般的にやや遅れている状況が続いている。2022年度も、大半の期間、ケニアにおける新型コロナウイルスの「感染症危険情報」のカテゴリーがレベル3(渡航中止勧告)であったため、ケニアへの出張は行わなかった。このような状況のため、次年度使用額が生じた。 2023年度、新型コロナウイルスによるケニアへの渡航制限が解除されたため、ケニアへの渡航費、現地フィールド調査経費、ストライガの遺伝子解析費、ケニアにおける栽培試験実施経費、論文投稿費などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)