2021 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアにおける侵入害虫キャッサバコナカイガラムシの生物的防除の有効性
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19KK0153
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高須 啓志 九州大学, 農学研究院, 教授 (50212006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 俊一郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (90725045)
松尾 和典 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (90741281)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | キャッサバコナカイガラムシ / 寄生蜂 / 生物的防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、コロナ蔓延拡大により日本人研究者の海外渡航が全くできなかったため、カンボジア、バッタンバン大学の研究者によるキャッサバ圃場におけるキャッサバコナカイガラムシトビコバチの天敵としての有効性評価のための野外調査と九州大学における寄生率評価のための寄生蜂遺伝子検出のためのPCR法開発を行った。カンボジアのバッタンバン州の1圃場およびバンテイミンチェイ州の3圃場において2021年5月~2022年3月まで毎月キャッサバコナカイガラムシの密度およびキャッサバコナカイガラムシトビコバチの寄生率(回収したコナカイガラムシのうち蜂の寄生によりマミー化した個体の割合)、2次寄生蜂の寄生率を調査した。その結果、雨期の5月~9月にはほとんどキャッサバコナカイガラムシは発生しなかった。乾期の10月以降からキャッサバコナカイガラムシが発生し、同時にキャッサバコナカイガラムシトビコバチの寄生も認められた。寄生率は、キャッサバコナカイガラムシの密度の上昇とともに高くなり、最大で80%に達した。一方、二次寄生蜂は最大でも20%であり、キャッサバコナカイガラムシトビコバチの天敵としての有効性に大きな影響を与えているとは考えられなかった。キャッサバコナカイガラムシトビコバチと2次寄生蜂の寄生を正確に検出するためにPCR法の開発を行った。その結果、キャッサバコナカイガラムシトビコバチの遺伝子を特異的に増幅するプライマーを利用して寄生後0日、1日、3日、6日目のキャッサバコナカイガラムシから寄生蜂の遺伝子を検出することができた。二次寄生蜂は現地へ渡航できなかったために実験虫を得ることができず実験できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染拡大により2020年度および2021年度の2年間まったく現地に渡航できず、予定していた調査や野外実験の多くが行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、海外渡航が解禁となり次第、現地調査を開始し、野外におけるキャッサバコナカイガラムシトビコバチの天敵としての有効性評価試験を行う。 また、現地への渡航制限が長引く可能性を考えて、一部の野外試験を室内実験に代える。具体的には、九州大学において本寄生蜂の有効性を低下させる原因である、1)二次寄生蜂、2)寄主の免疫反応、3)捕食者による捕食の室内実験、天敵の有効性を増加させる要因である1)寄主体液摂取、2)植物が出す糖の餌としての役割を明らかにする室内実験を行う。また、計画では本研究は2022年度末で終了の予定であったが、海外渡航規制がさらに長引き予定している現地での研究が本年度中に行えなかった場合、2023年度の1年間延長することを検討している。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ感染拡大により海外渡航禁止により以下の項目で使用できなかった。(1)旅費:予定していた海外への調査が全くできなかったため。(2)人件費:外国人ポストドク1名の雇用を予定していたがコロナにより来日できず人件費を使用していない。 2022年度の使用計画 (1)旅費:使用2021年度は、海外渡航が解禁になり次第予定していた海外渡航用に旅費を使用する。(2)人件費:ポスドクの来日が2022年5月に決まったため、ポスドク1名の雇用に人件費を使用する。
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Research Products
(5 results)