2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of polysaccharide-based block copolymers via olefin metathesis and evaluation of their physical properties
Project/Area Number |
19KK0163
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 教授 (10293911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 まり子 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30220594)
杉村 和紀 京都大学, 農学研究科, 助教 (30711783)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | セルロース / ブロックコポリマー / 多糖 / オレフィンメタセシス |
Outline of Annual Research Achievements |
石油由来ポリマーを代替し得る生分解性の天然多糖をベースとする機能性材料の開発を目指し、オレフィンメタセシスを鍵反応とした多糖系ブロックコポリマーの合成とその物性評価について、共同研究先のアメリカ合衆国VirginiaTech、Kevin J. Edgar教授とZoomによるオンライン会議を2回、メールを介したディスカッションを複数回行った。具体的な合成スキームと反応条件(試薬、反応温度等)に関する議論を行い、渡米の際に持ち込む試料の合成に取り組んだ。 昨年度までに出発試料として選定したセルロースアセテートCA(工業的に重要な汎用エステル誘導体)と、エチルセルロースEC(濃厚溶液中でコレステリック液晶を形成するエーテル誘導体)について、オレフィンメタセシス反応に適した末端機能化とブロック化反応を行った。具体的には、セロビオース誘導体をモデル化合物に用いて還元末端へのオレフィン含有基の導入とクロスメタセシス反応を行い、還元末端オレフィン同士の選択的結合によるブロック共重合体化に成功した。また、セルロース誘導体-block-ビニルポリマー共重合体におけるブロック鎖セグメントに関して、末端機能化ビニルポリマーの調達ルートとブロック化スキームを確立し得た。 並行して、ブロックコポリマー試料の物性評価(液晶特性評価)に先立ち、構成セグメント鎖であるECとアセチル化EC(AEC)のブレンド濃厚溶液を調製して、その液晶光学特性 (呈色波長と円偏光) を調査した。ブレンド組成や温度等に応じて液晶溶液の相構造は変化し、アセチル基組成変化に伴うEC・AEC分子鎖間のキラル相互作用を議論できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた共同研究先(Virginia Tech)での長期研究滞在がコロナ禍のため中止せざるを得なかった。しかしながら、オレフィンメタセシス反応に適した官能基の分子末端への導入と低分子モデル化合物(ブロック共重合体)の合成には成功している。さらには、ブロック共重合体の構成セグメントであるECとアシル化ECから成る混合溶液の液晶形成挙動の調査といった、基礎データの集積を行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの蔓延状況が予断を許さない状態ではあるものの、遅れている日本側研究者の研究滞在を実現させる(今夏を目途に)。それまでの間は、Zoomを使った遠隔会議を引き続いて開催し、セルロース系ブロックコポリマーについて、実験スキームの検討と進捗状況の共有を行う方針である。 また、デキストラン系ブロックコポリマーについて、薬物輸送システムDDSへの応用を目指して、分子設計による親/疎水性のミセル形成能・ゲル形成能の制御を試みる。導入するブロック鎖(第2成分)を選択するとともに、オレフィンメタセシスの反応条件について、検討を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた、共同研究者であるVirginia TechのKevin Edgar教授研究室における研究滞在と研究打ち合わせのための訪問が、COVID-19の影響でキャンセルされたため。 翌年度として請求した助成金と合わせた使用計画は下記の通りである。 アメリカへの出張と共同研究が最も大きなウエイトを占める予定である。7月以降を目途に、計画通り研究分担者の杉村和紀助教がVirginia Techに赴いて実験を開始する。
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