2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of basin-scale water management technologies of paddy dominant watersheds using seasonal vicissitudes of Tonle Lake and its reverse import as rural technology infrastructures
Project/Area Number |
19KK0171
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
増本 隆夫 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80165729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 有美 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (40753885)
伊藤 祐二 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (60526911)
辻本 久美子 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (80557702)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | 分布型水循環モデル / 領域気候モデル / 湖内熱収支 / 同位体分析 / 流域灌漑方策 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度には、前年度の収集データに基づき湖内熱収支の検討を、トンレサップ湖畔水文気象観測塔のデータを用いて検討を開始した。加えて、氾濫水の地下水涵養有無についての調査、領域気候モデル(WRF)とDWCM-AgWUモデルとのカップリングに関する基本アルゴリズムの決定ならびに組込み方法について検討した。 また、環境指標としての安定同位体の利用方法を明らかにし、トンレサップ湖や湖周辺地域での降水、湖水、河川水の定期的なサンプリングを共同研究先の水資源気象省と協力して継続して行った。そこでは、同位体分析を着実かつ本格的に進め、分布型水循環モデルによる計算シミュレーションと環境指標からのアプローチを統合したネオ診断法としてプロトタイプの作成を目指した。 一方、補足データ収集や観測塔での観測は継続するとともに、気候変動実験における各種GCMの結果も入手し、独自のバイアス補正法により1~5kmのダウンスケールデータの作成を開始した。ただし、観測塔上のバッテリー等は交換補修が必要となっているが、現地訪問ができず太陽パネルが利用できない夜間の観測に支障をきたす事態となった。 なお、共同研究の実施にあたって、トンレサップ湖内、湖周辺河川等に直接出向き実施する研究活動はコロナ禍の進展のために現地訪問ができない状況となった。そのため、長期観測を行っているトンレサップ湖畔水文気象観測塔の維持管理とデータ回収、ならびに各種サンプリング(湖内、流入河川、地下水井戸、降水等)は、トンレサップ総局や水資源気象省等の共同研究者に依頼し、保守や定期的な採水を行った。一方、採水されたサンプルは、カンボジア-日本の間での物資輸送が、コロナパンデミックの関連で運行停止となっているため、日本への送付ができないなど、多大な支障が発生している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地観測ならびに共同相手先との打合せは、令和元年度の末の訪問を最後に、コロナの影響から、全く実施できない状況となっている。そのため、現地データの収集、現地水サンプル等の入手がことごとく遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究手順①~⑦、すなわち①対象流域の確定と協力でのトンレサップ湖周辺流域の選定、②関連情報の収集に関し、15年間の解析期間設定と関連データ(灌漑・水資源、土地計画等)や水文・気象、氾濫データの収集、③水文気象の観測タワーによる集中観測の観測強化とデータ整理、④湖内熱収支の検討の開始、⑤水循環モデル(DWCM-AgWU)からのアプローチとして、DWCM-AgWUモデルの適用と改良、⑥環境指標からのアプローチの開始(降雨補足器設置、サンプリング等)、⑦ネオ診断法の開発をスタートさせ、その考え方の方針検討に加えて、海外研究グループと共同で現地調査ならびに研究実施を行うとともに、次のアプローチを開始する。 これまでの収集データに基づき、④の検討の深化と⑤と⑥を核としたトンレサップ湖や湖周辺地域での解析を②~③のデータを用い推進する。そこでは、⑤は各検討要素で③から得られる新たな集中観測データを活用して順次進める。一方、②の補足データ収集や③の観測は継続しながら、気候変動実験における各種GCMの結果も入手し開発してきた独自のバイアス補正法により1~5kmのダウンスケールデータを作成する(海外共同研究者側)。結果は流域灌漑方策の提案に利用する。 また、⑥と⑦に関して、⑥の各種サンプルは海外グループの現地技術者が分担して推進するとともに、⑦に関しては、R3年度までに海外研究グループとの討議を経てネオ診断法を完成させる。さらに、当診断法を利用した熱収支、水循環、農業水利用等の素過程は日本側で、同時にネオ診断法を用いた水田主体流域管理法の開発や提案は海外共同グループと共同で提案する。 なお、計画している国内作業は、予定通り行えるものの、現地訪問等は、本年度も実施困難が予想されるため、2年間半の研究期間を1年延長して取り組む方策を検討中である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の蔓延により、代表者や分担者の海外調査が禁止され、しかもそれぞれ県外への移動自粛など国内移動も制限されたため、それらの支出が極端に少なくなったため。 渡航が可能となった時点で現地調査ならびに現地委託管理費を含めた現地共同研究の実施に多くの予算を使うとともに、国内における同位体分析や各種シミュレーションを実施するために利用する。
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Research Products
(22 results)