2020 Fiscal Year Research-status Report
新たに発見された病原性牛バベシアに対する国際防疫体制強化に向けた基盤研究
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19KK0174
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
横山 直明 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (80301802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白藤 梨可 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教 (00549909)
ティルラセンバラム シヴァクマール 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特任研究員 (00826711)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | バベシア / 牛バベシア病 / Babesia sp. Mymensingh / Babesia bovis / Babesia bigemina / 牛 / モンゴル / スリランカ |
Outline of Annual Research Achievements |
牛バベシア病とは、マダニによって媒介され、赤血球に寄生して牛に発熱、貧血、血色素尿を呈し、多大な経済的被害をもたらす海外悪性伝染病である。我々がスリランカ国で発見した新バベシアは、我が国で家畜法定伝染病の病原体に指定されている既知のBabesia bovisとBabesia bigeminaに続く、第3の病原性牛バベシア(Babesia sp. Mymensingh)である。本申請課題では、スリランカ国の家畜生産・健康局とその管轄の獣医学研究所と連携して、現地調査、分離培養、牛感染試験などを実施し、新たに発見された病原性牛バベシアに対する国際防疫体制強化に資する学術基盤を構築していく。
2020年度では、モンゴル国で放牧・飼育されていた計725頭の牛の血液DNAサンプルに対して、それぞれのバベシア種を標的としたPCRスクリーニングを行った。 そこ結果、B. bovis、B. bigemina、及びBabesia sp. Mymensinghの全体陽性率が、それぞれ27.9%、23.6%、及び5.4%であることが明らかになった。これらの結果より、モンゴルにおける牛バベシアの深刻な汚染実態が示された。特に、モンゴルにおけるBabesia sp. Mymensinghの検出は初めての報告となった。また、Babesia sp. Mymensinghに対する特異的PCRの有効性も検証できた。
本年度の成果より、Babesia sp. Mymensinghのリスク評価に向けた海外現地調査と疾病制御に向けた対応策ガイドラインの作成の必要性がますます高まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新牛バベシア種の国際疫学調査を2020年度も行えたことから、有益な進展を得た。しかしながら、新型コロナウイルスによる世界的蔓延の影響を受けて、スリランカ国への渡航ができず、現地調査や分離培養が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Babesia sp. Mymensinghは既知の高病原性牛バベシア(Babesia bovisとBabesia bigemina)に続く第3の高病原性牛バベシアである。この新バベシアの実態を把握するための学術基盤の構築は喫緊の課題である。最終年度は、1)新バベシアはどの程度の病原性を示すのか? 2)どこから分岐して誕生したバベシアなのか? 3)どのようなマダニ種によって媒介されるのか? などの学術的な「問い」を順次解決し、国際防疫体制強化に資する研究基盤を整えていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる世界的蔓延の影響を受けて、海外疫学調査に向けた現地での研究打ち合わせやサンプリング調査が行えなかったことから、次年度使用額(3,988,165円)が生じた。最終年度では、海外調査研究の再スタートやすでに保有している血液由来DNAサンプルのより詳細な遺伝子解析のために、次年度使用額を試薬消耗品(1,000,000円)、旅費(1,000,000円)、謝金(1,000,000円)、及びその他(988,165円)に分配し、翌年度分として請求した直接経費4,700,000円と合わせて、計8,680,000円を使用することを計画している。
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[Journal Article] Host range and geographical distribution of Babesia sp. Mymensingh2020
Author(s)
Sivakumar Thillaiampalam、Tuvshintulga Bumduuren、Kothalawala Hemal、Silva Seekkuge Susil Priyantha、Lan Dinh Thi Bich、Long Phung Thang、Yba?ez Adrian Patalinghug、Yba?ez Rochelle Haidee Daclan、Francisco Benitez Daniel、Tayebwa Dickson Stuart、DE Macedo Alan Caine Costa、Schnittger Leonhard、Yokoyama Naoaki
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Journal Title
Transboundary and Emerging Diseases
Volume: 67
Pages: 2233-2239
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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