2022 Fiscal Year Research-status Report
化学触媒ツールの開発を基軸としたヒストン修飾とDNA修復の相関解明
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19KK0179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 求 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20243264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山次 健三 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30646807)
川島 茂裕 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (40508115)
藤村 亜紀子 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (80793091) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 触媒 / ヒストン修飾 / DNA損傷 / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンはヌクレオソームを構成する主要なタンパク質であり、その翻訳後修飾はDNAの塩基除去修復(BER)などの様々な生物学的過程に関与している。これまでに、特定のリジン残基がアセチル化されたモノヌクレオソームを再構成することで、ヒストンH3のアセチル化がBERに関与していること、また各残基のアセチル化がBERに与える影響が異なることが示されており、ヒストンアセチル化はBERにおいて重要な働きをしていることが示唆されている。しかし、生体内のクロマチンはポリヌクレオソームであり、モノヌクレオソームとポリヌクレオソームではBERの速度が異なることが知られている。また、ポリヌクレオソームにおいては、DNA損傷部位とアセチル化部位が同一ヌクレオソーム内に存在している場合と、異なるヌクレオソームに存在している場合が考えられる。そこで本研究では、BERにおけるヒストンアセチル化の機能を詳細に解明するために、DNA損傷部位とアセチル化部位をポリヌクレオソームに位置選択的に導入する系を構築することを目指した。 アセチル化導入法としては、当研究室で開発した配列特異的にDNAに結合するヒストンアセチル化触媒PIP-BAHAを用いた。また、DNA損傷部位導入法としては、Sczepanski教授が開発したPlug and Play法を用いた。触媒反応後のアセチル化リジン残基をLC-MS/MSで定量解析した結果、アセチル化は触媒結合配列を持つヌクレオソームのH3K36およびH3K56に主に入っていることがわかった。この条件においてUDG/APE1によるdU切断過程のキネティクスを測定したところ、ヒストンアセチル化とdUが同一ヌクレオソーム内に存在するときにはdU切断が加速される一方で、両者が異なるヌクレオソームに存在するときには加速が見られないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テトラヌクレオソームに対するヒストン残基選択的なアシル基導入法を確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、非天然修飾も含めてヒストンの特定のリジン残基選択的に化学修飾を導入し、テトラヌクレオソームおよび12量体ヌクレオソームでの検討をおこなって行く。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の蔓延により、米国への渡航ができなかったため。米国Sczepanski教授からのご指導により、当方でDNA損傷の導入と修復の評価が可能になっており、現在は研究が順調に進んでいる。
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