2020 Fiscal Year Research-status Report
人類の拡散の進化史:トルコ・アナトリア半島における古人類学的研究
Project/Area Number |
19KK0188
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 直記 京都大学, 理学研究科, 助教 (70722966)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中務 真人 京都大学, 理学研究科, 教授 (00227828)
森田 航 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究員 (20737358)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
Keywords | アナトリア半島 / 後期中新世 / 中期更新世 / 人類進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれホモ・サピエンス(現生人類)に至った系統進化において、類人猿・人類段階の主要イベントは常にアフリカで起こったと主流仮説では考えられている。その一方、過去1600万年にわたり、様々な類人猿・人類がアフリカからの拡散を繰り返したことが、古生物地理から示唆されている。この拡散過程を明らかにするには、アフリカとユーラシアをつなぐ回廊地帯の化石資料が鍵となる。本研究では、回廊地帯の中でも有望な化石産地のひとつであるアナトリア半島(トルコ共和国)における人類化石の発掘調査を進めている。アナトリア半島ではユーラシアにおける最古級の類人猿が発見されており、その時代以降、現在に至るまで人類・類人猿の系統がほとんど途切れることなく存続したと考えられている。 当該年度は特に更新世の人類化石の発掘を進めたが、COVID-19の影響のため、日本側研究者はトルコに渡航しての研究活動を行うことができなかった。しかしながら、トルコ側の共同研究者による発掘調査は、規模は縮小したものの、一部実施することができた。アナトリア半島西部のインカヤ洞窟と、アナトリア半島南部のウチュアズリ洞窟でそれぞれ発掘調査が行われた(中央部マラティアの踏査はCOVID-19の影響のため中止)。いずれも、人骨の発見には至らなかったが、石器が多数確認された。今後、さらに発掘を進めていきたい。特にウチュアズリ洞窟は石灰岩質であり、人類化石発見の可能性は高いと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響が大きく、日本側研究者にリサーチ・ビザが発行されない、調査の一部が中止となるなど、計画に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き発掘調査を続ける。特に、中止となった、アナトリア半島中央部マラティア地方の踏査を実施し、地区レベルから洞窟レベルにまで調査地を絞り込んでいきたい。出土した石器、出土する可能性の高い歯などの予備的分析を開始したい。また、COVID-19の影響のためトルコに引き続き日本側研究者が渡航できない場合に備え、支援体制を整えることも必要だと考えている。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響が大きく、日本側研究者がトルコへ渡航できなかったため。
|
Research Products
(6 results)