2021 Fiscal Year Research-status Report
Significance of structural diversity of O-glucose glycans in Notch signaling
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19KK0195
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
竹内 英之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80361608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶌 優子 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (10423104)
LO PEIWEN 名古屋大学, 医学系研究科, 外国人特別研究員 (20822406) [Withdrawn]
浦田 悠輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90897357)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | O-グルコース糖鎖 / 構造多様性 / Notchシグナル / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、日本、中国、米国の研究者と共に、Notch 受容体の O-グルコース糖鎖修飾が、その機能発揮に必須であることを世界に先駆けて報告してきた (Cell 2008, Nature Chemical Biology 2015, 2016, EMBO Mol Med 2016)。最近の研究代表者の研究で、O-グルコース糖鎖にはこれまで知られていなかった構造的多様性があることが分かってきた。 本国際共同研究では、生化学、遺伝学、分析化学、構造生物学の専門性的手法を糾合し、まず O-グルコース糖鎖修飾の構造多様性、そして、その生物化学的意義と生合成の構造的基盤を世界で初めて明らかにする。これまでに、NOTCH2 受容体の細胞外部位に起こる糖鎖修飾に着目し、質量分析計を用いた分子量の精密な分析を行った。その結果、NOTCH1 に初めて検出された新奇 O-グルコース糖鎖構造であると推定された構造が、キシロース転移酵素をノックアウトした細胞由来の NOTCH2 の 12 番目と 33 番目のEGF ドメインに見出し、原著論文としてまとめた。 本年度は、さらに、NOTCH3 受容体の細胞外部位中の 9 番目の EGF ドメインにも、同様の新奇糖鎖構造が存在することを明らかにした。興味深いことに、この位置は、NOTCH1 の EGF10 に相当し、Notch受容体のリガンド相互作用領域に含まれていることから、本糖鎖構造の機能的重要性が考えられた。今後、この可能性を検証する実験を行う。 研究代表者は、Notch 受容体機能の糖鎖修飾による制御機構に関する原著論文3報、並びに、総説 1 報の発表に貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題 1: GT8 ファミリー糖転移酵素群の個体・細胞レベルでの機能解析。研究代表者とベイラー医科大学Jafar-Nejad博士が担当。これまでの研究で、Gxylt1 KOマウスも、胎生致死となる一方で、Gxylt2 KOマウスは胎生致死の表現型を示さないことが明らかとなった。Gxylt1 KOマウスが致死となる分子機構の解析が進んでいない。 課題 2: Notch2上に見出された多様な新奇O-結合型糖鎖構造の性状解析と、その生合成を担う糖転移酵素の同定。研究代表者とジョージア大学 Tiemeyer 博士が担当。 生合成を担う責任酵素が、NOTCH1については、B4GALT1並びにST3GAL4であることを強く示すデータを得たが、NOTCH2及びNOTCH3については現在解析中である。 課題 3: GT8ファミリー糖転移酵素群の原子レベルでの機能解析。研究代表者とジョージア大学 Haltiwanger 博士およびYu 博士が担当。GXYLT1と受容基質との複合体の立体構造をX線結晶構造解析により明らかにするために、Haltiwanger博士がリコンビナントタンパク質としてGXYLT1の作製を行っている。酵素における糖鎖修飾の違いが、酵素活性を変化させる興味深い結果を得た。研究代表者は、受容基質 EGF タンパク質としてNotch2のEGFドメインを 2 つの異なるシステムで作製し、さらにin vitroでO-グルコース単糖を付加した。また、GLT8D1を強制発現させた細胞における糖鎖修飾の変化は今のところ観察されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
課題 1: GT8 ファミリー糖転移酵素群の個体・細胞レベルでの機能解析 研究代表者とベイラー医科大学Jafar-Nejad博士が担当。Gxylt1 KOマウスでも、これらの過程に異常を来しているか調べるために、胚の免疫組織化学的観察を本研究チームの既報通り行う [Fernandez-Valdivia, Takeuchi, et al. 2011 Development]。対照として、胎生致死の表現型を示さないGxylt2 KOマウスの胚も解析する。状況が許せば、名古屋大学の浦田悠輔博士をベイラー医科大学に派遣する。 課題 2: Notch2上に見出された多様な新奇O-結合型糖鎖構造の性状解析と、その生合成を担う糖転移酵素の同定。研究代表者とジョージア大学 Tiemeyer 博士が担当。HEK293T細胞に発現させたNOTCH2及びNOTCH3上の新奇O-結合型糖鎖糖鎖の生合成責任酵素を同定する。状況が許せば、研究代表者がジョージア大学に赴いて実験を行う。 課題 3: GT8ファミリー糖転移酵素群の原子レベルでの機能解析 研究代表者とジョージア大学 Haltiwanger 博士およびYu 博士が担当。糖鎖修飾の異なるGXYLT1を大量に調製し、結晶化と構造解析に構造解析に供する。Notch2のEGF12 ドメインは、質量分析による糖鎖修飾の解析から、細胞内においても、キシロースの伸長を受けていること、また、Notch2のリガンド結合ドメインに位置していることから、GXYLT1との複合体形成実験に適していると判断し、今後これらを用いて研究を進めていく。GLT8D1を細胞に発現させる最適条件を検討し、糖鎖修飾を分析する。
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Causes of Carryover |
課題 1: GT8 ファミリー糖転移酵素群の個体・細胞レベルでの機能解析では、研究代表者とベイラー医科大学Jafar-Nejad博士が担当。Gxylt1 KOマウスでも、これらの過程に異常を来しているか調べるために、胚の免疫組織化学的観察や、Notch受容体とリガンドとの相互作用解析を本研究チームの既報通り行うことを予定していた [Fernandez-Valdivia, Takeuchi, et al. 2011 Development]。しかしながら、コロナ禍のため、予定していた名古屋大学の浦田悠輔博士のベイラー医科大学への派遣がかなわず、計画を延期することとした。また、受容体とリガンドとの分子間相互作用解析についても、質量分析の遅れのため、実験材料を揃えることができず、次年度に持ち越すこととなった。
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Research Products
(9 results)