2020 Fiscal Year Research-status Report
蛍光偏光を用いた等方性分解能顕微鏡の開発と細胞膜動態の可視化
Project/Area Number |
19KK0198
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 雄介 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30333503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 容一朗 北海道大学, 医学研究院, 講師 (70597492)
佐藤 絢 北海道大学, 医学研究院, 博士研究員 (90854662)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | 蛍光顕微鏡 / 偏光顕微鏡 / 等方性分解能 / 蛍光タンパク質 / 異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑色蛍光タンパク質 green fluorescent protein(GFP)の持つ異方性anisotropyを活用した角度センサーを開発した。これは二つの膜局在化シグナルによってGFPを細胞膜に固定したもので、GFPの発色団の向きと細胞膜の相対角度を一定に保った形で固定が可能となる。これによって、膜の傾きや曲率の変化により膜の蛍光偏光の角度が変化する。また、これらの膜局在化シグナルを様々な他の膜局在化シグナルに入れ替えた改変型角度センサー群も構築し、より高感度に膜の角度変化を検出すること、および細胞外刺激に応答して細胞膜の組成の変化を蛍光偏光の変化として検出することにも成功した。 また、角度センサーによって細胞膜の角度変化を計測するための全反射型蛍光偏光顕微鏡を自作し、稼働させている。この顕微鏡においては、励起光のxy方向の偏光は均一であるが、z方向成分については任意の向きに固定することが可能である。よって、この光学系を用いて上記の角度センサー群を発現する細胞を観察することで、一分子分解能による細胞膜の角度変化の測定が可能とした。 顕微鏡の性能確認には、共同研究先の米国マサチューセッツ州ウッズホールの海洋生物学研究所 Marine Biological Laboratory(MBL)のRudolf Oldenbourg博士およびResearch AdministratorのDana Mock-Munoz de Luna氏とコンタクトをとり2020年度の渡航予定を調整し、physiology course開催時期に訪問することを検討していたが、コロナ禍のため実現しなかった。顕微鏡開発についてはオンラインでの打ち合わせ以上のコミュニケーションの必要性に苦慮したが、なんとか予定通り完了した。現在はこの顕微鏡を用いて膜の動態観察をルーティンに行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗はオンライン打ち合わせの活用等により当初の予定を維持したものの、本計画の一つの目玉であった若手研究者のリアルな交流がコロナ禍により実現しなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に共同研究先を訪問して偏光顕微鏡開発を行う予定であったが、世界的なCOVID-19の拡大により、実現しなかった。次年度もおそらく実施不可能と予測されるので、オンラインでの会議により補完したりすることで、2021年度の研究を推進し、全研究期間終了後には当初の計画どおりあるいはそれ以上の成果を出せるように、一層の工夫をしながら進める予定です。
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Causes of Carryover |
当初計画していた海外研究機関への滞在が叶わず、年度途中で研究計画を変更したが残額が生じた。本年度は当初より研究を海外期間滞在なしでも円滑にすすめるため、研究補助員の雇用等を計画している。
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Research Products
(3 results)