2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on the dynamics of initial infections and colonizations with intestinal protozoan parasites
Project/Area Number |
19KK0200
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
所 正治 金沢大学, 医学系, 准教授 (30338024)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 尚男 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (50191557)
松村 隆弘 北陸大学, 医療保健学部, 助教 (20808638)
|
Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
Keywords | 腸管寄生原虫 / インドネシア / 出生コホート / 腸内微生物叢 / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの腸管には臨床で問題となる高病原性の腸管寄生原虫だけでなく、数多くの非病原性原虫が寄生する。われわれは、人類の進化史に帯同してきたと考えられる、このような片利共生原虫の腸管寄生を「腸内原虫叢」とみなす研究仮説を提唱し、腸内原虫叢の成立過程を調べ、さらに腸内原虫叢が乳幼児の健康状態・成長・宿主免疫に及ぼす影響を総合的に評価する観察的出生コホート研究をインドネシア、スラウェシ島ブルクンバ市において立ち上げた。 新型コロナ事態による日本側の海外渡航困難があり開始時期が遅れたものの、ハサヌディン大学との業務委託契約により、現地協力研究者らの稼働によって2021年10月に新生児とその母親100組(男女新生児各50名を含む)を募集。メンバーの出生から現在までに半年間隔で3回(延長申請により2023年の5月に第4回採取予定)の検体採取・聞き取り調査を進めてきた。 サンプルの解析は、採取サンプルの国内輸送がようやく2022年度から可能となったことから限定的だが、初回の母体からの糞便サンプルを材料とした腸管寄生原虫の分子スクリーニングの結果が判明(Entamoeba spp. 21.0%、 Giardia intestinalis 12.0%、Enteromonas 7.0%、Chilomastix 9.0%、Retortamonas 3.0%、 Blastocystis 59.0%)、同地域での恒常的な腸管寄生原虫の蔓延を確認することが出来た。つまり、調査地域では成人において、このデータにみられるような腸内原虫叢が常在しており、したがって、本コホートの目的とする新生児期以降の腸内原虫叢形成の初期局在・感染状況の評価が達成可能と考えられる。本研究プロジェクトは、延長申請により2023年度も継続しており、引き続き、出生から乳幼児期までの糞便を材料とした分子スクリーニング評価等を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス事態によってインドネシア訪問が不可能となったため、研究計画の全面的な見直しが必要だったため。新型コロナウイルス事態にともない日本側研究者の現地への訪問について見通しがつかなかったため、現地協力研究者への海外業務委託によってフィールドサンプル収集を進めてきた。このため、コホート研究の開始は、2021年10月からと遅れ、延長申請により2023年度前半にも追加の評価を実施することでかろうじて1年半の経過観察を確保した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年までの採取済み糞便サンプルについては、当初予定通りの寄生虫分子スクリーニング解析と細菌微生物叢解析を実施予定。しかしながら、当初の研究開始の遅れを原因として、本研究でこれまでに確保することのできたサンプルは、出生後1歳半までに留まるため、腸管寄生原虫の初期暴露の実態と、その定着過程を評価するには期間が不十分と考えられる。そこで、現在、本コホートを継続するための海外連携研究を申請中。本コホートの観察を4年間継続し、5歳まで評価し、当初の目的を達成することを目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ対応のため、研究実施が遅延したことから、最終年度である2022年度内に海外での検体採取が終了できなかったため、
|