2019 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質の構造生物学に基づいた筋萎縮性側索硬化症の分子病態解明と治療法開発
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19KK0214
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山中 宏二 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80446533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 征爾 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70633577)
祖父江 顕 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任助教 (80823343)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、英国リバプール大学と共同で構造生物学的知見に基づいた筋萎縮性側索硬化症(ALS)の分子病態解明と新規治療戦略の開発を目指す。具体的に、1) ALS原因タンパク質SOD1の立体構造を安定化させて疾患の進行を抑制する化合物の開発、2) 単量体TDP-43の分子の生物物理学的性状解析と立体構造解析を行う。SOD1の構造安定化を目標に、英国チームが合成した化合物について、本邦チームが英国にて共同で培養細胞を用いたスクリーニング・構造解析を行い、神経保護効果を細胞やモデルマウスを用いて検証する。また、TDP-43タンパク質の解析について、本邦チームによる知見である、ALS病理の鍵タンパク質TDP-43の異常蓄積や核外漏出と蛋白の構造異常の関係性に着目し、この分子機構をタンパク質の物理化学的特性ならびにクライオ電子顕微鏡等による立体構造解析から解明する。 2019年度は、本研究課題の採択に際して、英国チームとWeb会議、海外学会等において研究計画の詳細な打ち合わせを行った。1)ALS原因蛋白質SOD1の立体構造を安定化させて疾患の進行を抑制する化合物の開発について、英国チームが見出した候補化合物であるエブセレンについて、構造展開によって類縁化合物数種を合成し、その神経保護効果について、培養細胞における予備検討を開始した。2) 単量体TDP-43の分子の生物物理学的性状解析と立体構造解析について、今年度は、TDP-43の単量体化により、ALSに特徴的なTDP-43病理であるTDP-43タンパク質の局在異常とリン酸化TDP-43の異常凝集が惹起されることを見出した。 また、英国における実験実施のため、英国への渡航を予定していたが、COVID-19蔓延のため、次年度以降に延期となった。その間、Web会議、e-mail等によって共同研究に関わる打ち合わせを継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により、英国への渡航が延期になったため、一部の実験計画は延期している。
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Strategy for Future Research Activity |
双方の研究チームがWeb会議等によって密に連携して、それぞれの担当課題を進めるように努める。ただし、COVID-19による大学の活動制限が再度発生した場合には研究計画の変更も検討せざるを得ない。
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Causes of Carryover |
研究分担者の海外渡航をCOVID-19蔓延のため延期したため。次年度に、英国渡航による研究推進を目指す。
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