2020 Fiscal Year Research-status Report
Roles of non-coding genomic regions for understanding congenital heart defects in human
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19KK0218
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
竹内 純 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10451999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 健介 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50770210)
古川 哲史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80251552)
小川 英知 大阪大学, 生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (20370132)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | 非コード長鎖RNA / 先天性心疾患 / TBX5 / in utero KO / CRISPR-Cas9 / GPC5 |
Outline of Annual Research Achievements |
*Tbx5遺伝子とTbx5ua(Gm5563)の両遺伝子破壊マウスの解剖学解析および下流標的遺伝子の機能解析 1:iGONAD法を用いた遺伝子破壊(KO):同方法を用いることで、80%以上の確率でKO胚が得られている。iGONADで作成られたTbx5-/-胚と通常のcre/loxpシステムを用いたTbx5del/del胚(Bruenau, 2001)との間では上肢・心臓の奇形が見受けられ解剖学的相違は見受けられなかった。また、双方の胚において他の組織異常は観察されず、簡易的な遺伝子発現解析においても同様な結果を得られた。次に、Gm5563-/-胚においても、申請者らが報告したKO胚(Hori, 2018)と同様な心奇形を生じていた。 2:Tbx5;Gm5563の標的遺伝子の同定と機能解析:RNA発現解析を行い、GPC4/GPC5を単離した。同遺伝子は心臓発生過程にて興味深い発現を呈していた。間葉系細胞(MSC)分化系では、同遺伝子は細胞増殖時に活性化されRNAiを用いて機能阻害を行うと増殖活性が消失した。さらに、FGFをFGFレセプターに呼び込みFGFシグナルを増強させてshhの発現制御することも明らかとなり、国際学術雑誌に報告した(Takeuchi, 2021)。このような特異的制御機構は、心臓発生過程において流出路・心房分化に重要であり、Holt-Oram症候群(TBX5)患者においても同領域での異常が不整脈・若年性心房細動を発症することが知られている。 *シングルセル解析によるTbx5;Gm5563の上流制御因子の同定:マウス胚発生7.0日胚において、領域性を保ったシングルセル発現解析系を構築し候補因子を単離した。ex utero強制発現系(Takeuchi & Bruneau, 2009)を用いて、2因子を同定した(Morita, [submitted] 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)モデル生物用いた機能解析:A;KO表現型とgenotype結果が一致している:iGONAD法を用いたKO胚は、制御領域内に正確な遺伝子変異を持つ結果を得ている。一回のiGONAD法では平均80%のKO胚が得られており、KO胚表現型は遺伝子変異が生じた時のみに生じている。また、コントロール実験として、既に報告されているTbx5およびIslet1 KO胚と同様なKO胚を得ていることから、本研究過程で得られているKO胚は有効な結果と考えられる。必要時に効率良く相当数KO胚を得る系を確立したことにより、省スペースで迅速に機能解析へ移行し今年度中内に仕上げる目処が立った。B;Tbx5;Gm5563 ダブルヘテロ(DHets)表現型により両遺伝子間の相乗的作用が存在する:解剖学的な検証を行なったところ、左室欠損による単心室構造および流出路の完全消失の表現型を得ている。心室筋菲薄化はTbx5およびGm5563単一KO胚でも得られるが、DHets胚はTbx5KO胚と同様な表現型を示したことから、Tbx5;Gm5563の相乗効果によるものと予測される。これらの結果とRNAseq結果を詳細に精査し、特定の制御遺伝子の特定に至った (2)参照)。C;Tbx5;Gm5563に制御されるシグナル因子としてGPC4/GPC5を単離、GPC5において機能解析を行った。研究結果をまとめ、国際科学雑誌に報告した。 2)上流制御因子の同定:本研究実験過程でシングルセルレベル領域特異的トランスクリプトーム解析系を構築した:Gm5563とTbx5によりの共通のプロモーターを活性化するメカニズムを明らかにするため、空間・領域を維持したシングルセル解析系を構築した。この研究結果をまとめ、国際科学雑誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Gm5563は疾患重症化発症メカニズムを明らかにする可能性を秘めた非コードRNAであると考えている。よって、1)下流制御因子、2)RNA分子としての機能、3)KOマウスを用いた生体機能、4)上流因子による制御機構を明らかにする。 1)Tbx5;Gm5563に制御される共通の下流制御遺伝子の同定とその特異な制御機構の理解を目指す。Tbx5 KOのみでは明らかにできなかった因子の同定し、クラスター解析およびその特徴を明確化する。2)RNA分子としての機能を明らかにする。Biotin-Gm5563強制発現系を用いて結合タンパクの単離、転写制御、翻訳制御、を含めて明らかにする。このことにより、TBX5症候群(HOS)の重症化メカニズムの理解につながると考えている。3)Gm5563単一KOマウス、Tbx5;Gm5563 DHetsマウスを用いて電気生理学解析を行う。ヒトTBX5疾患(HOS )では患者によって心機能の異常有無の差が大きい。この理解を目指す。4)Tbx5;Gm5563を制御する解析系を構築した。このシステムを応用し、血管・心筋の運命スイッチ機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ下の影響で国際学会が中止、かる、米国本土での研究が行うことが難しくなった。また、消耗品費においてもコロナ下の影響で使用を最小限におさえ、2021年度論文投稿を目指し、そのための使用に焦点を当てることに切り替えた。このため、研究費全体における金額の差が生じたが、研究が順調に遂行しており、2021年度に全額使用する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] in vitro generation of functional murine heart organoids via FGF4 and extracellular matrix.2020
Author(s)
Lee J., Sutani A., Kaneko R., Takeuchi J., Sasano T., Kohda T., Ihara K., Takahashi K., Yamazoe M., Morio T., Furukawa T., Ishino F.
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 11
Pages: 4283.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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