2021 Fiscal Year Research-status Report
Roles of non-coding genomic regions for understanding congenital heart defects in human
Project/Area Number |
19KK0218
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
竹内 純 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10451999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 健介 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50770210)
古川 哲史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80251552)
小川 英知 大阪大学, 生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (20370132)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 非コード長鎖RNA / 先天性心疾患 / TBX5 / in utero / CRISPR-Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒト先天性心疾患責任遺伝子の一つTBX5遺伝子座において逆方向に転写される2つのlncRNA (Gm5563(心臓特異的)/Gm42017(上肢特異的))に焦点を当てて、マウスモデルとヒトiPS細胞由来分化心筋を用いてヒト先天性疾患重症化のメカニズムの理解を目指すことを目的としている。2020年度においてTbx5;Gm5563多重遺伝子破壊マウスにおいて、単一遺伝子破壊マウスより重度の心奇形を生じていることを見出した。2021年度には前年度の結果を発展させるために、2つの研究(遺伝学・生化学)を用いて、Tbx5とのlncRNAの生体機能の関係性を明らかにすることを目指した。 1:組織学・生理学解析を用いたGm5563/Gm421017の生体機能の理解:lncRNA変異モデルの心疾患表現型の組織学的と遺伝学的理解。新技術のin uterus CRISPR/Cas法(iGONAD)を用いることにより、効率よく短期間(F0で解析可能)で多重遺伝子破壊マウスを作出した。さらに、Gm5563--/Tbx5-/-ホモマウスは/Tbx5+/-単一遺伝子破壊マウスより重度の奇形胚を生じ、Gm5563+/-/Tbx5+/-多重ヘテロマウスはTbx5-/-マウスと同程度の重度奇形を生じていた。よって、Tbx5の機能的な活性化に関与していると予想される。 2:生化学を用いたGm5563/Gm421017の生体機能の理解:RNA―タンパク室相互作用実験。RNA-タンパク質免疫沈降法(RIP)を用いたGm5563と心臓転写因子(Tbx5, Gata4、Tbx1、 Mef2c)との相互作用を調べたところ、Gm5563がTbx5特異的に共役している萌芽的結果を得た。この結果は非コードRNAが特定の転写因子と相互作用していることを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究結果によって、遺伝学的な相関性があること、生化学解析によりRNA(Gm5563)-タンパク質(Tbx5)相互作用が相互作用していることが示されたことにより、本研究の方向性の正当性が確認された。この結果は、Gm5563がTbx5遺伝子座近傍に存在しているだけでなく、Tbx5の補助的因子として機能していることを示している。同年度に共同研究先のBruneau教授(Gladstone研究所)と密に連携を維持しつつ本研究の重要性を議論し、分子機構の解明が重要課題であることを再確認した。よって、本研究の論文投稿に向けた構成案が明確となった。論文投稿に向けた残された課題は、Gm5563の(1)下流制御遺伝子変化と解剖学解析、(2)心臓生理機能変化、を明らかにすることである(8.今後の研究推進方策・参照)。本研究チーム内で実施可能であるため、2022年度内に取りまとめ、論文投稿を目指す。(1)下流制御遺伝子においては、RNAシーケンスを用いた遺伝子発現変化解析と、このデータを基盤に免疫組織学解析を予定している。(2)生理機能においては生体モデルを用いて心電図および心エコーを予定している。 また、本研究結果から発展した研究推進となるが、本研究結果のlncRNAは特定の転写因子と相互作用している可能性が示されたことより、心臓転写因子と相互作用するRNAを網羅的探索プロジェクトを立ち上げる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はさらに共同研究先のBruneau教授と密に連携を強化して分子機構の明確化させ、論文投稿を目指す。そのために、研究推進すべき残された課題を下記に記載する。 1:分子機構の解明。A: exo uterus系を用いた生体内転写活性実験:Gm5563強制発現系を用いた転写活性化機構の理解 → 基本ルシフェラーゼ・アッセイ法を用いて解析する。すでにTbx5標的遺伝子として報告されているNppa、Gja5、Mef2c遺伝子の制御領域を含んだルシフェラーゼカセット(Nppa-、Gja5-、Mef2c-luc)を構築済である(Takeuchi, Nature 2009)。本研究では、先行研究で樹立した、より生体に近いexo uterus解析系を用いて解析を行う(Morita, [submitted] 2021)。B: NGS解析系を用いた遺伝子発現変化と特異的制御遺伝子の同定:トランスクリプトーム解析によるGm5563 KOとTbx5 KOとの遺伝子発現解析 → Gm5563変異によって発現変化する心臓遺伝子群の特徴とTbx5の下流制御遺伝子との相関性を解析する。C: 組織学解析:作成済みである遺伝子破壊モデルの詳細な内部形態変化を調査し、Tbx5単一遺伝子破壊モデルとの相違を明確化する。 2:lncRNA変異モデルの心疾患発症における生理学的解析:Gm5563 KO、Gm42017 KO、Tbx5+/-の心機能解析 →心エコー、および心電図解析を行い、Gm5563 KO、Gm42017 KOマウスの心機能をTbx5+/-マウスと比較する(分担研究者・医科歯科大井原)。Tbx5+/-マウスでの心機能解析実績(Takeuchi, Nat. Commun. 2011)をもとに各KOマウスの生体機能を調査し1Aの遺伝子解析と比較し、標的遺伝子を同定する。
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Causes of Carryover |
本研究を論文投稿の可能性が生じたため、延長を申請した。研究費は論文投稿用に使用する。具体的な使用予定はNGS解析費(60万)・分子生物学解析費(20万)・生理学解析費(10万)・生化学解析費(10万)・英文校閲費(30万)・投稿費(20万)として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)