2023 Fiscal Year Research-status Report
Understanding the mechanism of the African-type Artemisinin resistance of Plasmodium falciparum
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19KK0220
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 健介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40567294)
坂口 美亜子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50400651)
ギタカ ジェッセ・ジヒア 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員准教授 (70829861)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | マラリア / 薬剤耐性 / 分子機序 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一線抗マラリア薬のアルテミシニンに対して、東南アジアでK13と呼ばれる遺伝子の変異による耐性熱帯熱マラリア原虫が出現した。一方、アフリカでは東南アジア型K13耐性変異がないにもかかわらず、アルテミシニン耐性を示すマラリアが2014年に報告された。そこで、本研究では、未だ明らかでないアフリカ型アルテミシニン耐性のマラリア原虫における決定遺伝子を同定する事を目的とした。目的達成のために、ケニアにてアルテミシニン臨床耐性調査を行い、耐性を示した患者から東南アジア型K13耐性変異がないアルテミシニン耐性原虫を分離し、感受性株との交配による連鎖解析を行う計画とした。 前年度に収集した迅速診断キットで熱帯熱マラリア原虫が陽性であった患者血液検体のうち、顕微鏡にて熱帯熱マラリア原虫が確認できた100検体について、K13の配列を検討したが、アルテミシニン耐性との関係が報告された変異は確認できなかった。ブシアで採取した熱帯熱マラリア患者血液11検体について、in vitro培養を行い、7株を樹立することに成功した。薬剤感受性アッセイの結果、全株がアモジアキン、ピペラキン、ルメファントリン、クロロキン、キニンに感受性で、一株だけがメフロキン耐性、全株がピリメサミンに耐性を示した。全ゲノム配列解析とアルテミシニンに対する感受性アッセイを行う準備を行った。さらに、マウントケニア大学にて熱帯熱マラリア原虫の培養と薬剤感受性アッセイを行うため、マウントケニア大学の修士課程学生を一名を代表者の研究室で受け入れて、熱帯熱マラリア原虫の培養と薬剤感受性アッセイのトレーニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に収集した血液試料の一部でK13配列を決定することができ、また、ブシアの熱帯熱マラリア原虫のin vitro培養株7株を樹立し、薬剤感受性試験と全ゲノム配列解析を開始することが出来たが、過去数年間の渡航制限措置により、当初の予定より遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に樹立した7株のアルテミシニン感受性アッセイを行い、全ゲノム塩基配列解析の結果と薬剤アッセイの結果を合わせて総合的な評価を行う。研究成果を論文にまとめて、学術誌に発表する。本研究にてケニアのブシアでアルテミシニン臨床耐性の可能性のある患者からの培養株樹立、アルテミシニン感受性アッセイと全ゲノム配列解析を継続し、耐性の責任遺伝子の同定の研究を推進するための新たな研究費を獲得するための研究費助成金申請を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度に樹立した7株のアルテミシニン感受性アッセイを行い、全ゲノム塩基配列解析の結果と合わせて総合的な評価を行う予定であったが、研究開始時の遅れが影響し、終了することが出来なかったため、これらの実験に必要な消耗品代を繰り越す。また、学術誌での発表が遅れたため、学術誌への掲載料も繰り越す。2024年度の研究計画は、7株のアルテミシニン感受性アッセイを行い、全ゲノム塩基配列解析の結果と合わせて総合的な評価を行うこと、また、その後の交配実験までの予算を得るために研究費助成金に申請することである。
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