2020 Fiscal Year Research-status Report
Leukemic stem cell signatures to identify therapeutic targets of elderly acute myeloid leukemia
Project/Area Number |
19KK0221
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田部 陽子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70306968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍 智彦 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (00570128)
鈴木 浩也 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (40788551)
早津 徳人 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (80543058)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / BCL-2 / DNAメチル化 / single cell RNA-seq / single cell ATAC-seq / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性白血病や骨髄異形成症候群に対して、より副作用が少なく、治療効果が期待できる多剤併用療法に関して様々な臨床研究が実施されており、特に抗アポトーシス因子BCL-2阻害剤Venetoclaxと各種分子標的治療薬の併用効果が報告されている。DNAメチル基転移酵素(DNMT)阻害剤もその一つである。DNMT阻害剤は、すでに骨髄異形成症候群において効果を発揮する第一選択薬となっているが、様々な遺伝子のメチル化を同時に阻害するため、抗腫瘍効果の標的遺伝子や作用機序の詳細は不明な部分が多く残されている。 本国際共同研究では、single cell RNA-seqの先端解析技術を軸とした複数の先端技術を統合し、現在、米国MD Anderson Cancer Centerにおいて臨床試験が行われている「抗アポトーシス因子BCL-2とDNAメチル基転移酵素の同時阻害」治療前後の白血病細胞の精密なプロファイリングを実施し、これによって治療効果を予測・評価するバイオマーカーを特定することを目標とする。 当該年度の研究では、昨年度に引き続き、同臨床研究を目的として採取された治療後再発患者の治療前後のサンプルを用いてRNA-seq解析とsingle cell ATAC-seq 解析を進めている。これらの解析の結果、治療前後でエネルギー代謝、細胞遊走、細胞接着等、特定のシグナル系に関与する遺伝子の発現亢進が認められ、さらに長期寛解を達成したグループと再発/治療不応性であったグループの治療前の遺伝子発現において免疫応答関連遺伝子の発現レベルに違いがあることがわかった。これらの知見は、治療後の腫瘍細胞の生存に微小環境との相互作用が関与していることを示唆するものであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、「抗アポトーシス因子BCL-2とDNAメチル基転移酵素DNMTの同時阻害」臨床研究において採取された治療前後の患者サンプルを用いてRNA-seq解析とsingle-cell ATAC-seq解析を実施した。新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって、昨年度に引き続き、今年度も研究が遅滞し、研究者の物理的な交流を自粛している状況である。しかしながら、検体の授受を進め、米国で実施予定であったRNA-seq解析、scATAC-seq解析を一部日本において先行実施するなどの代替措置により、研究を再開しつつある。現時点において、RNA-seq解析の結果、①BCL-2阻害/DNAメチル化阻害治療に対して再発/治療不応性であった群を対象に治療前後の遺伝子発現を比較検討したところ、治療後にエネルギー代謝、細胞遊走、細胞接着関連遺伝子の発現亢進が認められ、②過去の治療に不応性であった症例群において、BCL-2阻害/DNAメチル化阻害治療によって長期寛解を達成したグループと再発/治療不応性であったグループ間には、後者で免疫応答関連遺伝子発現が有意に低下する、ことが分かった。これらの結果は、BCL-2阻害/DNAメチル化阻害治療後の腫瘍細胞の生存に微小環境との相互作用が強く関与することを示唆するものであり、さらに特定の遺伝子発現や細胞シグナルの同定を進めていく足掛かりになると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、初発未治療群と治療不応性・再発群それぞれについて、非再発例の治療前検体、再発例の治療前、再発後検体のRNA-seq、single-cell RNA-seqとsingle cell ATAC-seq同時実施データを蓄積して解析を進めるとともにmethylation assayを実施して、DNAメチル基転移酵素阻害剤の標的遺伝子を明らかにしていく。また、近年、DNAメチル化阻害によって白血病細胞の遺伝子に組み込まれているウイルス由来RNAの再活性化が進み、これによって骨髄微小環境における免疫系の活性化が生じるという現象が報告されている。今後、特にRNA-seq、 single cell RNA-seqデータ等の詳細な解析によって、これらの新たな抗腫瘍機序についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
本年度に実施を予定していたsingle cell RNA-seqが世界的な新型コロナウイルス流行の影響で研究者の物理的な交流自粛により一部実施不可能であった。今後、検体の授受を進め、米国で実施予定であったRNA-seq解析、scATAC-seq解析を日本においても一部先行実施する代替措置をとることにより、研究を推進する。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] BCL2A1: a novel target in refractory acute myeloid leukemia with FLT3-ITD/D835 dual mutations2020
Author(s)
Kotoko Yamatani, Tomohiko Ai, Kaori Saitoh, Haeun Yang, Sonoko Kinjo, Kazuho Ikeo, Vivian Ruvolo, Po Yee Mak, Hironori Harada, Kazuhiro Katayama, Yoshikazu Sugimoto, Takashi Miida, Marina Konopleva, Weiguo Zhang, Bing Z. Carter, Yoshihide Hayashizaki, Michael Andreeff, Yoko Tabe.
Organizer
American Society of Hematology Annual Meeting
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[Presentation] The direct interactions with bone marrow microenvronment confer resistance to the inhibition of Oxidative Phosphorylation in AML2020
Author(s)
Yoko Tabe, Kaori Saitoh, Kotoko Yamatani, Haeun Yang, Rodrigo Jacamo, Helen Ma, Vivian Ruvolo3, Qi Zhang, Vinitha Kuruvilla, Natalia Baran, Junichi Imoto, Kazuho Ikeo5, Kaori Moriya, Yuko Murakami-Tonami, Koya Suzuki, Takashi Miida, Michael Andreeff, Christopher P. Vellano, Joseph R. Marszalek, Marina Konopleva
Organizer
American Society of Hematology Annual Meeting