2020 Fiscal Year Research-status Report
Japan/US collaboration research for organ regeneration reusing unused FDA-approved drug
Project/Area Number |
19KK0230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪井 丘芳 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (90379082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井階 一樹 大阪大学, 歯学研究科, 特任研究員 (00849432)
田中 信和 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (20570295)
皆木 瞳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(RPD) (70754810)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究の目的は、唾液腺細胞の増殖と発生機構に注目して、放射線による組織の障害を軽減できる薬剤、放射線障害から組織再生を誘導できる薬剤を探索し、臨床応用を目指すことである。細胞増殖活性を高め臓器形成を誘導する薬剤を網羅的に探索することと、放射線照射を用いて投与薬剤の障害抑制効果を判定する予定である。将来的には、唾液腺で得られた知見を活用し、肺・腎臓・乳腺・涙腺などの他臓器の再生医療に発展させることを目標としている。臓器の損傷・修復機構を解明するために、マウス唾液腺の損傷・修復モデルを作成する。唾液腺損傷後の組織を解析し、修復過程を詳細に観察し、指標となる組織を見出そうと探索中である。 【損傷・修復モデルの観察】放射線照射後の成体マウス唾液腺の変化を観察する。照射距離、照射範囲、照射量を検討し、継時的に組織を採取し、損傷後に修復する過程を組織学的に観察している。 【組織により異なる損傷程度の検討】唾液腺組織は大きく上皮組織と間葉組織で構成されている。さらに上皮自体も細分化され、腺房、導管だけでなく、周囲は筋上皮、神経などから形成されている。損傷後、周囲環境と相互作用しながら、組織が修復される。再生過程における上皮細胞の動態を調査しているところである。 【細胞増殖・臓器形成を誘導する薬剤のスクリーニング】FDA承認済み化合物や薬理活性が判明した化合物、米国で臨床試験まで到達した化合物等を用いて薬剤のスクリーニング検査を行う。成体マウス唾液腺細胞と培養細胞株、胎生13日目の唾液腺を培養する。培養後、細胞や組織を採取し、total RNAを抽出後、定量的real-time PCRを用いて、細胞周期に関係するCiclinD1の活性化、細胞増殖、アポトーシスを解析している。薬剤の作用メカニズムを考慮しながら、候補薬剤をさらに絞り込もうとしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年4月から2021年3月まで定期的に、Dr.Ovittらのグループとそれぞれの研究施設の実験手技の確認や放射線照射の条件設定と結果検証について綿密な話合いをするために、ニューヨーク州のロチェスター大学で合同会議の準備を進めていた。しかしながら、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大により、ニューヨーク州への移動が出来なくなり、訪問を断念せざるを得なかった。現在のところ、ロチェスター大学、大阪大学ともに双方への移動が制限されているが、ウェブ会議を併用しながら、研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
臓器の損傷・修復機構を解明するために、唾液腺の導管結紮や放射線照射を行い、マウス唾液腺の損傷・修復モデルを作成する。さらに、唾液腺損傷後の組織を解析し、修復過程を詳細に観察し、指標となる組織を見出そうと探索を継続している。 FDA承認済み化合物や薬理活性が判明した化合物、米国で臨床試験まで到達した化合物等を用いて、成体マウス唾液腺細胞(応募者が新しく樹立)と培養細胞株、胎生13日目の唾液腺を培養することによって、薬剤のスクリーニング検査を並行して開始する。 培養後、細胞や組織を採取し、total RNAを抽出後、定量的real-time PCRを用いて、細胞周期に関係するCiclinD1の活性化、細胞増殖(EdU)、アポトーシス(TUNEL)を解析する。分化に関するERK1/2、AKTのリン酸化、阻害剤を用いてシグナル伝達機構を解析する。唾液分泌能を評価するために、Ca 流入を測定する。薬剤の作用メカニズムを考慮しながら、候補薬剤をさらに絞り込む予定である。 将来的に条件が安定すれば、放射線照射後に傷害した唾液腺に選択薬剤を添加し、障害抑制効果を形態学的、分子生物学的に検証することを目指している。
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Causes of Carryover |
ニューヨーク州のロチェスター大学へ移動して、双方の研究手技と放射線照射器の条件決めを確認しながら、研究打合せを行う予定であった。しかしながら、COVID-19の感染拡大により、ニューヨーク州への出張が困難となり、渡航をキャンセルしたため、未使用額が生じた。 今後の使用計画としては、臓器の損傷・修復機構を解明するために、唾液腺の導管結紮と放射線照射を行い、マウス唾液腺の損傷・修復モデルを作成する。唾液腺損傷後の組織を解析し、修復過程を詳細に観察し、指標となる組織を見出す予定である。継時的に組織を採取し、損傷後に修復する過程を組織学的に観察する計画を遂行する。 今後も渡米は困難であると予測されるため、個々の条件で研究を進める。唾液腺組織は上皮組織と間葉組織で構成されている。さらに上皮自体も細分化され、腺房、導管だけでなく、周囲は筋上皮、神経などから形成されている。放射線による損傷後、周囲環境と相互作用しながら、組織が修復される。修復過程で指標となる組織を見出して解析を続ける計画である。
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Research Products
(7 results)