2021 Fiscal Year Research-status Report
International Joint Genome Epidemiology Study on Stress and Non-Communicable Diseases in Indonesia
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19KK0239
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50422457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 貴文 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 研究員 (20184533)
松平 一成 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 研究員 (60813441)
大橋 順 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80301141)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | ヒトゲノム多様性 / インドネシア / 非感染性疾患 / 生活習慣病 / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインドネシアと日本の協力体制を構築し、遺伝要因と環境要因を統合的に研究するゲノム疫学を行うことである。今年度は、文化的要因を明らかにするためのインドネシア語版文化尺度について、これまでの探索的因子分析に加え、確認的因子分析も行い、文化尺度の方法論に多角的な視点を得た。インドネシアに適した文化尺度の精度を向上させることができた。 またハサヌディン大学での遺伝子型タイピングを進めることができた。マカッサル市における症例対照研究では、セロトニントランスポーター遺伝子SLC6A4、ドーパミン受容体D4遺伝子DRD4、モノアミン酸化酵素遺伝子MAOAの多型を解析し、これらの多型がいくつかの文化心理学尺度とうつ病に関連していることが示唆された。 一方、トラジャ地方の横断研究からでは、μオピオイド受容体遺伝子OPRM1とオキシトシン受容体遺伝子OXTRについて解析したところ、OXTRの多型と行動抑制システムが、うつ病の因子である可能性が示された。しかし、社会経済的因子とうつ病との間に関連は見いだされなかった。 非感染性疾患は先進国だけでなく途上国においても主要な死因・健康問題となっている。これらの非感染性疾患はいずれも環境要因(生活習慣、ストレスな ど)と遺伝要因が絡んだ多因子疾患である。これまでの研究で、インドネシアにこれまでなかった遺伝疫学的なデータを示すことができた。またインドネシアにおいて急増したうつ病の背景として、本来の協調主義的社会では正の役割を果たしていた遺伝的特徴が、社会変化によってはむしろ負の役割を果たした可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響が長引いている。十分な現地調査をできず、また医療機関からの協力が限定的である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の影響がある中で、現地におけるデータ収集と解析の体制を再構築し、新規データの収集を行う。また、すでに収集されたデータの解析と研究成果公表を進める。すでに明らかになった、遺伝的多型とうつ病や文化尺度との関連について、より詳細な分析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、本年度までに計画通りの現地調査を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。 今年度に改めて現地調査を行うほか、現地研究機関との協力体制を整え、所定の目的を達せいする計画である。
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Remarks |
Triana Istiqlal. Biopsychosocial Study on Depression in Indonesia: A Comparative Analysis between Urban and Rural Areas of South Sulawesi インドネシアにおけるうつ病の生物心理社会学的研究―南スラウェシの都市と農村の比較分析―.京都大学博士学位論文.2022年
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Research Products
(3 results)