2023 Fiscal Year Research-status Report
疫学と数理モデルを融合したコウモリ由来感染症のリスク分析
Project/Area Number |
19KK0242
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大松 勉 東京農工大学, 農学部, 准教授 (60455392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久和 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任教授 (30177943)
加藤 健太郎 東北大学, 農学研究科, 教授 (30401178)
宇根 ユミ 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (40160303)
藤井 ひかる 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (10734444)
松山 亮太 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (00780008)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | コウモリ / 疫学調査 / フィリピン / Pteropine Orthoreovirus / クリプトスポリジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はフィリピン・ルソン島中西部にあるPalauigにて捕獲調査を実施し、9種66頭を捕獲した。今回捕獲したサンプルに関しては現在解析を進めている。今年度は2023年3月に採取した10種94頭について、口腔スワブ及び肛門/腸管スワブを対象にヒトに呼吸器疾患を引き起こすPteropine Orthoreovirus(PRV)の保有状況についてRT-qPCR法を用いて解析した。その結果、ココウモリ7種8頭からはウイルス遺伝子は検出されず、オオコウモリ3種68頭からはRousettus ampleicaudatusのみからウイルス遺伝子が検出された。同時に、腸管及び肛門/腸管スワブを対象にクリプトスポリジウムの保有状況についてPCR法を用いた解析を行った結果、1頭からのみ遺伝子が検出された。 次に、2019年度から2023年度にかけてフィリピン・ルソン島の4地点(A, B, C, D)で捕獲したコウモリ25種432頭から採取したサンプルから検出されたPRV及びクリプトスポリジウムの保有状況について比較したところ、PRVは2022年10月に実施したC地点及び2023年3月に実施したD地点のみで陽性個体が確認され、クリプトスポリジウムについては2020年2月に実施したA地点で10頭陽性、その他の地点では1頭のみと各病原体の陽性率に変動が確認された。 さらに、PRVの遺伝子保有率については性別、年齢(成獣または幼獣)、メスの場合の妊娠状況等との相関を解析した。その結果、幼獣でのPRV保有率が高かった。また、4地点で実施した調査でのPRV保有率が異なっており、保有率の変動に影響を及ぼす因子の同定に向けて継続的な調査の必要背が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度から2023年度にかけて、フィリピンに生息するコウモリ総計569頭からサンプルを採取することに成功し、ウイルスや寄生虫などの保有率を明らかにすることができ、特にウイルス保有率については幼獣で高いことを明らかにすることができており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、コウモリ由来感染症のリスク分析に必要な情報の収集を進めると共に、病原体保有率の変動に影響を与える因子の同定を試みるため、2024年度はこれまでに捕獲調査を行った地点を対象にこれまでとは異なる時期での調査を実施し、季節の影響について評価することを予定している。具体的には2019年度から2023年度に調査を実施したルソン島中部の4地点での再調査を実施する。対象とする病原体については、これまでと同様、ウイルスや寄生虫等の遺伝子解析を行うと共に、ELISAを用いた抗体調査も実施を予定している。
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Causes of Carryover |
当初計画していたフィリピンでの現地疫学調査が新型コロナウイルス感染症によりずれ込んだことから、計画実行が遅れ、次年度使用額が発生した。発生した次年度使用額については、今年度の疫学調査の実施に充て、円滑な研究計画の実施に向けて使用する。
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