2019 Fiscal Year Research-status Report
長期間の重力変化に対するマウス骨格筋の適応メカニズム追究
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19KK0253
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
河野 史倫 松本大学, 大学院 健康科学研究科, 准教授 (90346156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 貴之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00803561)
芝口 翼 金沢大学, GS教育系, 助教 (40785953)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙実験 / サンプルシェア / 過重力 / 骨格筋 / エピジェネティクス / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトが現在よりも長く宇宙滞在するためには、まず実験動物を使った長期間の宇宙飛行実験が必要である。イタリア・ジェノバ大学の研究グループは、Mice Drawer System(MDS)を用いて3ヵ月間マウスを宇宙空間で飼育する実験を行い、複数の深刻な生理機能低下が起こることを明らかにした。このような医学的問題に対する根本的な解決策は宇宙空間で重力を発生させること(人工重力)であり、実際にヨーロッパ宇宙機関(ESA)は人工重力の有効性についての研究に力を入れている。本国際共同研究の目的は、MDSを用いてマウスを長期間高重力環境に曝露した場合、生体機能にどのような影響が起こるのかを明らかにすることである。そのため、現ジェノバ大学のPIはDr. Sara Tavellaとの国際共同研究体制構築を本研究課題によって推進する。2019年度は、ヨーロッパ宇宙技術研究センター(ESTEC)(オランダ)にて実施したMDSを用いた15日間のマウス3G環境曝露実験を実施し、国際共同研究グループのひとつ(骨格筋チーム)として参加した。30日間の3G曝露実験も2019年に予定していたが、15日間実験の結果から得られたシステム上の改善点を検討するため2020年初頭に実験が延期されていた。しかしながら、新型コロナウイルスによるパンデミックのためイタリア、オランダを含むヨーロッパ全域で都市封鎖、渡航も不可能となったため、現在のところ実験再開は未定となっている。本国際共同研究では、取得できる筋サンプルは凍結状態となっている。代表者・分担者それぞれの解析項目について、凍結保存状態のサンプルで十分な解析ができるよう実験方法の構築作業および分担を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先述のとおり、新型コロナウイルスによるパンデミックのため実験が停止している。そのため、本来予定していた30日間の3G曝露実験(本実験)が2019年度内に実施できなかった。15日間の3G曝露実験は予定通り実施でき、サンプルは取得できているので、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響で、実験実施時期やヨーロッパへの渡航解禁などは未だに目途が立たない。したがって、1年間の研究期間延長も視野にいれて研究を進めていくつもりである。幸いなことに、15日間の3G曝露実験サンプルは取得できている。国際共同研究の目的を達成するため、2020年度はこのサンプルの解析に力を入れ、「重力が生体機能にどのような役割を果たすのか」という研究内容自体の推進を図る。
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Causes of Carryover |
本実験が実施できなかったため、解析費用に未使用額が生じた。今後は予備実験のサンプル解析を進めていくため、実験消耗品や試薬購入に要する費用として使用する計画である。また、新型コロナウイルスの影響を加味し、研究期間が1年間延長した場合を見越した繰り越しでもある。
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