2021 Fiscal Year Research-status Report
長期間の重力変化に対するマウス骨格筋の適応メカニズム追究
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19KK0253
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
河野 史倫 松本大学, 大学院 健康科学研究科, 教授 (90346156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 貴之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00803561)
芝口 翼 金沢大学, GS教育系, 助教 (40785953)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 高重力環境 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の狙いは、イタリア・ジェノバ大学グループとの国際共同研究関係を構築することとともに、重力負荷が骨格筋エピジェネティクスに及ぼす影響を明らかにすることにある。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、2020年度~2021年度の期間ヨーロッパでの実験実施はできておらず、現在も再開の目途が立っていない。したがって、2021年度は国内予備実験として予定をしていたマウスの慢性運動実験を実施した。トレッドミルを用いて4週間の走運動トレーニングを実施し、2週目および4週目で前脛骨筋をサンプリングした。運動誘発性エピジェネティクスとして、急性運動が骨格筋の遺伝子領域においてH3K27me3を亢進するというデータを既に得ており、このようなヒストン修飾変化が慢性運動でも起こるのかを調べた。その結果、4週目では非運動群に比べ有意にH3K27me3分布が増加したが、2週目では変化は認められなかった。総ヒストン分布は、2週目で有意に低下し、4週目で有意に増加した。総ヒストン量で補正した場合、H3K27me3は2週目でも有意に増加しており、慢性運動期間中はH3K27me3増加とヒストンターンオーバーが同時に起こっていることが分かった。このような筋活動依存的なエピジェネティック変化が、過重力環境下においてどのように発生するのか今後解析し、1G下で運動を行った場合と比較する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も新型コロナウイルス感染拡大のため、ヨーロッパでのマウス高重力環境曝露実験は実施されなかった。2022年3月に実験実施の計画案も話し合われたが、日本がその時期は出国・入国制限が厳しく、日本チームがもし渡航できなかった場合マウスの組織サンプリングが実行不可能になることから、この時期の実施は見送られた。以上の理由により本実験自体が実施できなかったため、本研究の進捗状況としては「遅れている」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究期間を延長し、2022年度まで実験実施のチャンスを伺うこととした。国内で実施予定としていた予備実験は2021年度に実施できたため、このサンプルの解析を進めつつ機会を待ちたい。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の打撃は大きいと見受けられ、EU国間の共同研究体制が保持できているのか不安要素が多い。マウスを用いる本研究は国際共同研究によるサンプルシェアが(倫理上の)大前提であるため、2022年度も実施が困難であることを念頭において現存サンプルの解析を優先する。
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Causes of Carryover |
取得済みサンプルの解析に要する物品費、ヨーロッパでの実験が実施された場合の渡航費用に使用する。
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Research Products
(1 results)