2021 Fiscal Year Research-status Report
高いスケーリング性能と高精度性を併せ持つ次世代固有値・特異値分解ライブラリの開発
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19KK0255
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 有作 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20362288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 周平 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 特別研究員 (50824421)
今倉 暁 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60610045)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 固有値計算 / 並列計算 / ブロックヤコビ法 / 収束性解析 / 誤差解析 / 非負行列分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
並列計算に適した固有値・特異値分解の計算法であるブロックヤコビ法について,収束性・計算誤差などの理論的解析と,並列計算機上での高性能実装を進めている。今年度は,特異値計算向けの両側ブロックヤコビ法における特異値・特異ベクトルの収束性について解析を行った。目標は,(i) 反復行列の対角要素が特異値に収束することを示すこと,(ii) 単純特異値の場合に,変換に用いた左側,右側の直交行列の積の該当する列が,それぞれ左特異ベクトル,右特異ベクトルに収束することを示すこと,(iii) 縮重/密集特異値の場合は,これらの積から作られる射影演算子が,縮重/密集特異値に対応する特異ベクトルの張る空間への射影演算子に収束することを示すこと,である。証明のアイディアは,昨年度に解析した固有値向けブロックヤコビ法に対する方法がベースとなっているが,特異値分解の場合は,固有ベクトルの摂動定理がそのままでは使えないこと,左特異ベクトルと右特異ベクトルとの関連を考慮しつつ収束を証明する必要があること,という困難がある。そこで,前者については,今回の目的に適した摂動定理を新たに導き,後者については,まず右特異ベクトルの収束を証明してから,それに基づき左特異ベクトルの収束も証明するという方法を採った。その結果,ブロック分割法に関するある仮定の下で,上記の(i),(ii),(iii)が証明できた。本結果は,線形計算分野のトップジャーナルであるSIAM Journal on Matrix Analysis and Applicationsに掲載が決定している。
また,行列計算を基盤とした機械学習法の研究として,複数機関が持つ秘匿データを安全に統合解析するデータコラボレーション解析技術の開発・高度化を進めた。さらに,行列分解の基盤技術として,行列の直交化法及び並列固有値解法の開発を進め,現在論文を執筆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論面・実装面での研究は,予定通り進捗しており,期待した成果が得られている。しかし,コロナ禍で国際会議が中止となったため,予定していたブロックヤコビ法に関するワークショップは開催できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遠隔会議システムやメールの利用などにより,海外の共同研究者との連絡を密に取り,ブロックヤコビ法に関する理論面・実装面での研究を引き続き予定通り進める。今年度は国際会議Parallel Processing and Applied Mathematicsがポーランドで開催される見込みであり,当初計画通り,そこで本研究に関するワークショップを行う予定である。また,行列計算を基盤とした機械学習法の研究についても,計画通り進める。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で、参加を予定していた国際会議が中止となり、国際共同研究先への滞在も延期となったため。R4年度は国際会議PPAM2022で本科研費の研究テーマに関するワークショップを開催するとともに、コロナの状況が許せば、国際共同研究先に滞在して共同研究を進める予定である。
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Research Products
(18 results)