2021 Fiscal Year Research-status Report
海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた世界社会生態系モデルの構築とシナリオ分析
Project/Area Number |
19KK0271
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
上原 拓郎 立命館大学, 政策科学部, 教授 (60384757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柘植 隆宏 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (70363778)
桜井 良 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (40747284)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋プラスチックごみ / STIRPAT / プラスチック汚染 / 計量経済モデル / 予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の最終成果であるシステムダイナミクスと経済モデルを統合した、海洋プラスチックごみに関する世界社会生態系モデルを構築するための準備作業として、計量経済モデルを構築した。 計量経済モデルは人口、富、技術水準に着目したフレームワークであるSTIRPAT(Regression on Population, Affluence and Technology )を用いて、データ取得可能な世界93か国のプラスチック汚染量を2050年まで推計した。本研究は環境クズネッツ曲線(EKC)の関係をSTIRPATで実証した初めての試みである。 推計の結果、プラスチック汚染量と収入の間に逆U字型の関係があることが明らかとなった。また収入が増えるにつれてプラスチック汚染が減少し始めるというターニングポイントは比較的安定しており、モデルの形態の違いに対して敏感ではなかった。したがって、経済成長に伴うプラスチック汚染の改善に関してはある程度楽観的に見ることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題のスタートとCOVID-19の時期がほぼ重なっており、本研究で最も重要な海外の研究者との共同研究に大きな遅れが出ている。特に本研究で構築を目指しているシステムダイナミクスと経済モデルを統合したモデルの構築は非常に複雑であることから、オンライン会議ではなく、実際に会って共同で進める必要がある。しかしながら、COVID-19による渡航制限のため、実際に会って共同研究を進めることがこれまでできていない。 その一方で、実際に会っての共同研究ができない、という状況下でできることとして、計量経済モデルの構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の状況は好転しないが、海外研究者の受け入れ等、徐々に緩和されている状況にある。したがって、状況を見ながら、海外出張を含めた共同研究を行う。 また、海外出張にさきがけて、出張をしなくても進められる研究、シナリオ分析用のシナリオの構築、デルファイ法の設計等を進めておく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた海外出張をすべてキャンセルするとともに、海外出張で調整の上実施予定であったデルファイ法も実施できなかったため。 次年度は、これまでコロナ禍によりキャンセルしてきた海外出張の実施、またデルファイ法の設計(オンライン調査票の設計にかかる経費)等を執行する。
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