2023 Fiscal Year Research-status Report
海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた世界社会生態系モデルの構築とシナリオ分析
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19KK0271
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
上原 拓郎 立命館大学, 政策科学部, 教授 (60384757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柘植 隆宏 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (70363778)
桜井 良 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (40747284)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 海洋プラスチックごみ / STIRPAT / プラスチック汚染 / 計量経済モデル / 予測 / ナッジ / 構造主義的学習論 |
Outline of Annual Research Achievements |
上原は主に、the stochastic impacts of regression on population, affluence, and technology (STIRPAT) modelを用いて、217か国のプラスチックごみの2050年までの将来推計と、世界のプラスチックごみを削減することによる便益と費用の評価を文献調査により実施した。前者については環境クズネッツ曲線(Environmental Kuznets curve)の関係が認められた。また今後、プラスチックごみの排出を抑えるためには、低所得国、そしてサブサハラアフリカ諸国に対する対策に注力する必要があることが明らかとなった。プラスチックごみ対策の便益と費用の比較については、シナリオによって便益が必ずしも費用を上回らないことが明らかとなった。 柘植はプラスチック消費大国である日本と中国で、使い捨てプラスチックの使用に関するアンケート調査を実施し、どうすれば使い捨てプラスチックの使用を減らすことができるかを検討する予定である。このため、アンケートで使用するナッジ(行動科学の知見を活用して、より良い選択を自発的に行えるように手助けする手法)と表明選好法(アンケートで選好を表明してもらう方法)に関する先行研究のレビューを行うとともに、アンケート内容の検討を行った。 桜井は海洋ごみを用いたワークショップ形式の学習プログラムの開発と評価を行った。構成主義的学習論をもとに教室内で実施可能なプログラムを考案し、京都市の中学校で実施した。プログラム実施後にその効果を検証したところ、中学生の知識向上や海洋ごみを減らすための行動の促進が確認された。また教員への聞き取りより、同プログラムが実際の学校のカリキュラムとして実施するうえで一定の妥当性があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19が発生した時期でのスタートであったため、国際共同研究に大きな遅れが生じた。1年間延長することで、当初の目標を達成するべく、研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年である今年度は、最終目標である、システムダイナミクスと産業連関表を用いて海洋プラスチックごみの対策シナリオ、とくに産業間の費用分担の在り方が産業に与える影響を考慮した分析を行う予定である。これまで、システムダイナミクスモデルの構築と産業連関表の作成は終わっており、今年度はシミュレーション及び論文執筆に注力する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍に始まったプロジェクトのため、研究の遅れが続いている。このため、2024年度まで延長申請をしている。2024年度の研究により当初の研究目的を達成する予定である。
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