2019 Fiscal Year Research-status Report
Strategy for spatially-controlled tissue regeneration
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19KK0278
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 功一 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50283875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 幸太郎 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20322240)
平田 伊佐雄 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40346507)
吉見 友希 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (50707081)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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Keywords | 組織工学 / 空間制御 / 三次元造形 / キメラタンパク質 / 関節軟骨 / 細胞成長因子 / 間葉系幹細胞 / 生体分解性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、組織工学の技術を活用した損傷組織の再生治療に関するものであるが、中でもとくに、空間特異的な生体組織構造を設計するための原理の追求を目的とする。例えば、再生治療の重要なターゲットである関節軟骨は、表層部から基底部にかけて細胞の分布、細胞外マトリックスの組成や含有量などが傾斜的に変化しており、そのような秩序構造が関節機能の鍵を握る。ところが、そのような秩序だった組織構造を再現するのが難しいため、組織工学による治療効果は未だ満足できるものではない。 本研究では、海外共同研究者の独自技術(高分子融液を用いた三次元造形技術)を活用して高度に構造制御された多孔質足場材料を設計するとともに、日本側研究者の独自技術(機能性タンパク質の局所的な徐放制御技術)を融合して、組織再生過程を構造と機能の両面から高度に制御し、天然組織に類似した組織構造をもつ関節軟骨移植片を体外で創り出す方法の確立を目指す。 本研究に着手してから半年の間に、以下の通り研究が進展した。 (1)高分子結合性ペプチドとして10残基のアミノ酸からなるペプチド配列を考案し、それを各種のサイトカインの末端に融合したキメラタンパク質を大腸菌発現系を用いて合成した。それらについてゲル電気泳動分析及びCD分析を行うとともに、表面プラズモン測定によってポリカプロラクトン(PCL)表面への結合性を調べた。 (2)PCLフィルムに各種のキメラタンパク質を担持させ、その表面でヒト骨髄由来間葉系幹細胞の増殖試験を行った。また、細胞接着挙動の経時的変化について調べるため、細胞接着に関わるタンパク質の免疫染色による分析を進めている。 (3)海外共同研究者のラボに出向き、高分子融液の電解紡糸に基づく3次元造形法によって作成されたPCL多孔質膜を得た。その試料を持ち帰り、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の培養試験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、半年間の研究活動を通して、2019年度の研究計画を順調に遂行することができた。また、その過程で、研究代表者及び研究分担者2名(若手研究者を含む)が海外共同研究者のラボに滞在する機会を得た。その際、今後の研究内容に関する詳細な打ち合わせを行うとともに、海外共同研究者らの独自技術を活用した試料作製を行うことができた。これらの経過を踏まえ、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降、当初の計画通り、(1)キメラタンパク質の合成、(2)キメラタンパク質の機能評価、(3)多孔質足場材料とキメラタンパク質の複合化と軟骨形成に関する評価、(4)動物内試験について研究を進める。しかしながら、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、海外共同研究先のドイツにおいても深刻である。そのため、本年度内は海外共同研究者のラボに滞在して共同研究を進めることは難しいのではないかと予想する。そこで、web会議を頻繁に行うなどして研究打ち合わせの機会を増やし、2021年度以降の研究の加速に繋げたい。
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Causes of Carryover |
キメラタンパク質の合成が比較的スムースに進んだため、消耗品の支出額を当初の予定より抑えることができた。 また、2020年2月に海外共同研究者のラボを訪問したが、当時、新型コロナウイルス感染拡大の懸念があったことから、滞在期間を短縮した。そのため、旅費としての支出額が当初の予定より少なかった。 令和元年度の残額を活用して、キメラタンパク質のレパートリーを拡充するとともに、免疫染色法による細胞の観察・分析について一層深く検討する。
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Research Products
(1 results)