2021 Fiscal Year Research-status Report
大気・海洋の微粒子観測への実用化と国際共同広域観測のための基盤形成
Project/Area Number |
19KK0289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂木 信宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20507818)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | エアロゾル / 海洋微粒子 / 微粒子測定 / 黒色炭素 / 鉱物ダスト |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス流行のため、渡航先研究機関が外国人の受入れを停止中であるため、渡航後に実施する予定の実験研究の予備研究を進めた。特に、本研究で実施する予定の大気・海洋中の黒色炭素・鉱物ダスト粒子の同定・定量測定を可能にするための技術的基盤を整えた。まず、液中粒子の複素散乱振幅を単一粒子毎に定量的に測定する方法「複素散乱振幅センシング」の実用化装置を完成させた。本装置では、大気中・海洋中の粒径0.2-5umの範囲の固体粒子について、複素散乱振幅から、屈折率または粒子形状が異なる粒子種を判別し、各々の粒径別数濃度を導出することができる。黒色炭素・鉱物ダスト粒子・生物粒子について、実験用標準粒子を導入して応答特性を評価した。2019年4月に長崎県福江島で観測した大気中の黒色炭素粒子の直接観測データと、Aerosol Devices Inc社のスポットサンプラーA110を用いて水中捕集した黒色炭素粒子の複素散乱振幅データから導出された粒径分布を比較した結果、一部の観測期間に高い相関がみられたものの、全観測期間では相関が悪かったため、スポットサンプラーの黒色炭素粒子の捕集性能に問題があることが示唆された。そこで本研究では、大気中の黒色炭素・鉱物ダスト粒子・生物粒子を液中に捕集して複素散乱振幅センシングにより連続観測することを可能にするため、流量条件や捕集効率を改良した新たな粒子捕集装置(Particle Sampler with Spiral Condenser: PSSC)を開発し、大気中の黒色炭素粒子の捕集効率の性能評価を行った。その結果、大気中の黒色炭素のほとんどを占める粒径範囲0.06-1.0umにおいて、80%以上の捕集効率を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス流行の影響による渡航先研究機関における外国人受け入れが2022年4月まで停止していたため、渡航開始時期が2年以上遅れており、当初の計画のスケジュール通りの現地での共同研究はまだ実施できていない。その代わり、当初の予定よりも、本格的な共同研究の準備のための予備研究が大幅に進んだ。複素散乱振幅センシング技術の確立と、粒子捕集装置PSSCの開発はその例である。このため、総合的には、大幅に遅れているとはいえず、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航先研究機関の外国人受け入れが2022年4月末より再開されることになったため、準備が整う2022年8月末から渡航を開始する予定である。渡航後は、複素散乱振幅センシング技術による大気中の黒色炭素粒子・鉱物ダスト粒子の観測性能について、渡航先研究機関が所有する先端的エアロゾル測定装置と相互比較することで検証する予定である。
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Research Products
(2 results)